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東京センチュリー 本店:東京都港区浜松町二丁目4番1号 【商号履歴】 東京センチュリー株式会社(2016年10月1日~) 東京センチュリーリース株式会社(2009年4月1日~2016年10月1日) センチュリー・リーシング・システム株式会社(1969年7月1日~2009年4月1日) 【株式上場履歴】 <東証1部>2004年9月1日~ <東証2部>2003年9月18日~2004年8月31日(1部指定) 【合併履歴】 2009年4月1日 東京リース株式会社 1985年5月 日 センチュリー・グレイハウンド・リーシング株式会社 【沿革】 昭和44年7月 伊藤忠商事株式会社・株式会社第一銀行・日本生命保険相互会社・朝日生命保険相互会社の4社の共同出資により、資本金500百万円でセンチュリー・リーシング・システム株式会社を設立。 昭和44年8月 大阪営業所(現大阪支店)を開設。その後各主要都市に支店、営業所等を設置。 昭和44年8月 リース事業協会(任意団体、昭和46年10月 通商産業大臣の社団法人設立認可)に加盟。 昭和47年9月 国際案件進出のため、グレイハウンド・リーシングアンドファイナンシャル・コーポレーション社(米国)、伊藤忠商事株式会社、コンチネンタル銀行(米国)とセンチュリー・グレイハウンド・リーシング株式会社を設立。 昭和48年12月 損害保険代理店業務進出のため、ミナト・トレーディング株式会社(昭和54年12月センチュリー・クレジット株式会社に商号変更、平成17年6月株式会社C-TRYに商号変更、現・連結子会社)を設立。 昭和58年10月 人材派遣業務進出のため、センチュリー・スタッフ株式会社(平成12年10月株式会社キャリアプラザと合併、平成14年1月キャプラン株式会社に商号変更)を設立。 昭和60年4月 当社自動車リース部門を分離し、伊藤忠商事株式会社、伊藤忠燃料株式会社、大成火災海上保険株式会社とセンチュリー・オート・リース株式会社(平成17年10月日本カーソリューションズ株式会社に商号変更、現・持分法適用関連会社)を設立。 昭和60年5月 センチュリー・グレイハウンド・リーシング株式会社を合併。 平成3年1月 損害保険代理契約をセンチュリー・クレジット株式会社から引き継ぐため、センチュリー・エージェンシー株式会社(平成15年4月センチュリー・ビジネス・サービス株式会社に商号変更、現・連結子会社)を設立。 平成12年3月 伊藤忠商事株式会社からセンチュリー・オート・リース株式会社の株式を取得し、センチュリー・オート・リース株式会社を子会社化。 平成12年3月 朝日オートリース株式会社を買収。 平成12年10月 センチュリー・オート・リース株式会社が朝日オートリース株式会社を合併。(存続会社 センチュリー・オート・リース株式会社) 平成13年12月 センチュリー・クレジット株式会社の会社分割を行い、自動車ローン部門業務をセンチュリー・オート・リース株式会社に移管。 平成15年9月 東京証券取引所市場第二部に株式を上場。 平成16年9月 東京証券取引所市場第一部銘柄に指定。 平成17年6月 センチュリー・クレジット株式会社を株式会社C-TRY(現・連結子会社)に商号変更し、リファービッシュ事業を開始。 平成17年10月 センチュリー・オート・リース株式会社がエヌ・ティ・ティ・オートリース株式会社と対等合併し、商号を日本カーソリューションズ株式会社(現・持分法適用関連会社)に変更。 平成18年10月 中国でのリース事業展開のため、伊藤忠(中国)集団有限公司との共同出資により中国上海市に盛世利(中国)租賃有限公司(現・連結子会社)を設立し、営業を開始。
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パチュリー12 10スレ目 107 紅魔館の大図書館に住む魔女、パチュリー・ノーレッジ 彼女の仕事に最近、幻想郷の出版物の検閲が追加された。 何故かって? 本人が言うには蔵書に閻魔帳が欲しかったから、だそうな。 そんなわけで紅魔館には一足早く新聞が届く。 「そうか、明日は快晴なのか……。」 隣で楽しそうに閻魔帳をめくるパチェに話を振る。 「せっかくいい天気なんだし、たまには外に出かけてみないか?」 「…………?」 そんなに変な物でも見るようなジト目で見なくてもいいじゃないか。 「晴天は外出の誘引にはならないわ。レミィやフランのような特殊体質なら 雨の日は外に出たくないという意味で曇りを避けるかも知れないけれど、 寧ろ私は肌や髪が荒れるから曇天の方が外出日和ね。」 そういえば前にそんな事言ってた気もするな。 「そうか……解った。図書館だと何時も小悪魔が居るしたまには二人で、と思ったんだが。」 そう言って新聞を戻そうと立ち上がったら、 「あ……。」 袖を掴まれた。 「やっぱり行く。晴れの日はハレの日だから外出日和だ、って本に書いてあったし。」 あっさり前言を翻すとは魔女失格じゃないのか? 「肌や髪が荒れるんじゃなかったのか?」 「いい、魔法で何とかする。」 まあ、本人がそう言っているんだから大丈夫なのだろう。 何はともあれ明日が楽しみだ。 翌朝、予報通り突き抜けるような快晴。 「パチュリー様、無理をなさっては……」 「くどいわ。使い魔なら使い魔らしく主に従いなさい。」 珍しく二人が口論をしている? 「おはよう。」 「あ……おはよう、○○。」 この様子は……昨晩全く寝てないのか? 「○○さんからも言って下さい。こんな状態で外出なんて無茶です。」 小悪魔の言ってる事は正しい気もするが。 「規定値以上の陽光を遮る魔法もかけたし、大丈夫よ。さあ、早く…………」 「パチュリー様! 」 相当無理してたんだろうな……さて、どうしたものか。 「パチュリー様は夜を徹して魔道書の執筆をなさっていて…」 「ん、どんな内容? 」 「耐火、耐水、耐衝撃、耐魔法、耐巫術、耐人形操術……の結界を張る魔法です。」 そりゃまた豪勢な。 「せっかくだし、行くか。」 「パチュリー様はどうするんですか。」 「背負っていく。後、その魔道書も……」 「これをもって行かれるのですか? 」 怪訝そうな顔で小悪魔が取り出した本は優に10000ページはありそうな…… 「圧縮してる時間が無いからと一気に書き上げられてました。」 これを持って行くのはちょっと、辛いかもな。 「私が持って行きます。大丈夫、お邪魔はしませんから。」 そんなわけで、今パチェを背負って山登り(丘登り?)をしている。 規則的な寝息を立てて丸くなってるパチェは以外にも暖かいし、柔らかい。 空は今も変わらず快晴。天高く馬肥ゆる秋、だね。 ふっ、と息を吐いて丘の頂を仰ぎ見る。 小悪魔の話では丘の上に魔道書と飲み物、そしてお弁当が置いてあるそうだ。 道中にも飲み物を置いてもらうべきだったかと少し考えるが、 やはり楽しみは頂上まで取っておくべきだろう。 「ん……」 背中のパチェから小声が漏れる。どうやら目を覚ましたらしい。 「あ……」 降ろしてくれと言うように体を捩る。 そっと降ろして、そして振り返る。 「○○……大変だったでしょ、ごめんね。」 「せっかく誘っいに応じてくれたんだからな……。これくらい大したこと無い。」 「そう……」 呟いて空を仰ぐ。 「……空凄いね。」 「そうだな。」 「風、気持ちいいね。」 「そうだな。」 「二人っきりだね。」 「ああ。」 はにかみながら目を閉じるパチェ。 そっと、その肩を抱いて唇を寄せて…… ─────────────────────────────────────────────────────────── 10スレ目 204 「おいパチュリー、この本借りるぞ」 「ええ・・・」 紅魔館の図書館、俺は主に魔法関連の本をあさっていた パチュリーは紅茶をちびちびと飲みながら本を読んでいる 俺の分の紅茶はとうに冷めていた、冷めても飲めればいいしな 「ねぇ○○・・・」 「ん?どうした?」 本を読みながら目を合わせずに、パチュリーが話しかけてきた 図書館でパチュリーから話しかけてくるのは非常に、珍しい 「明日なんだけど・・・何か予定はあるかしら?」 「明日?・・・・・・悪い、アリスと実験する約束が・・・」 「そ、そう・・・アリスによろしく伝えといてね」 「ああ・・・何かあったか?」 彼女がなぜか、悲しそうに見えたから 「いいえ、気にしないで」 それから会話はなく、俺は借りた本をもって家路を歩いた ~翌日~ 「・・・ちょっと!」 「うぇ!?あ、ああ悪い」 俺は約束通りアリスと実験をしている 「全然集中できてないじゃない!怪我するわよ!」 そうなのだ、前々集中できていない、なぜか寂しそうな彼女の顔が、頭をよぎるのだ 「・・・今日は終わりにしましょう」 「え?いや・・・まだ昼前だぜ?」 「実験は後回しに出来るけどね、ヒトの心は後回しには出来ないのよ」 「え?あ、ああ?」 「何か大切な事があるんじゃないの?今しなきゃいけない事があるんじゃないの?」 「アリス・・・ありがとな!」 それじゃあ、と手を振って彼は走っていってしまった 彼が持って来た実験道具やら本やら、いろんな物を忘れていった 「・・・はぁ、何でいつもこうなんだろう・・・ねぇ上海?」 「パァァァチュゥゥゥウリィィィィィイ!!!げふげふ」 むせながら図書館へ、重いドアを開け放ち、彼女のもとへ 「○○!?え?え?」 「ようパチュリー、待たせたな」 驚き戸惑っているパチュリー、そりゃあそうだ 「え?今日はアリスの」 「今日は切り上げてきた、パチュリーが・・・気になったから」 「あ・・・」 赤くなって俯くパチュリー、まるで少女のように、初心な感じで・・・少女パチュリー略してパチュ子 「それで・・・なんか用が有ったんだろ?ほれほれ、遠慮せずに言ってみろ」 すこし、間をおいて、彼女は言った 「あ、貴方と一緒にいたいな、と思っただけだから・・・きにしない「パチュリー!」 俺はか細い両肩を掴んで、彼女をこちらに振り向かせた 「な、なに?」 「・・・そういうことを言うと・・・勘違いしちまうぜ?・・・勘違いしていいなら、目閉じて」 半分冗談ぐらいで言ったつもりなんだが、パチュリーはゆっくりと目を閉じた、ちょっと上向いて、唇を・・・ 「あー・・・うん、えっと・・・」 とりあえずキスはまだ早い、キスは結婚してからだ、うん とりあえず優しく抱きしめた、やっぱりすごく、細い 「・・・でも抱き心地いいな」 癖になりそうだ 「・・・き、キス、は?」 「んーまた今度な、まぁゆっくり、な?」 ゆっくりゆっくり歩いていけばいい、走る必要は無いのだから そーして最後にキッスでしめるのさー そうだな、帰り際にキスしようか、驚く彼女が目に浮かぶようだ 何かワクワクしてきたぞ! ~終~ ─────────────────────────────────────────────────────────── 11スレ目 463 パ「この本を読んでほしいのよ」 俺「え?俺にですか?」 パ「そう」 渡されたのは一冊の絵本。 俺「…では後で読んでおきます」 パ「違うわ、いま私に読んでほしいのよ」 俺「え?」 パ「いやなの?」 俺「と、とんでもないです!」 パ「お願いね」 パチュリー様の顔からはなにも窺えない、とりあえず椅子に座り本を開く。 俺「では…」 パ「それでは見えないわ」 そう言うとパチュリー様は俺の身体と本のあいだに割り込むように ももの上にちょこんと腰を掛けた。 俺「ち、近いです…」 パ「読んで」 俺「…はい。むかしむかし、あるところのオーロラの先にたくさんの雪だるまが」 逆らえない雰囲気に押され、絵本を読み進める。 俺「さようならなの…だッ!?」 突然パチュリー様が背中に腕を回し、服をきゅっと掴んだ。 そして俺の胸に顔をうずめるようにゆっくりと抱きついた。 俺「あああ、あの…」 パ「…」 俺「…」 パ「…どきどきしているのね」 俺「…はい」 パ「…そう」 下目に少しだけ嬉しそうな顔が見えた。 そのとき遠くから足音が近づいて来るのが聞こえ凍りつく。 俺「パチュリー様!だ、誰か来ましたよ!?離れてください!」 パ「…」 小「パチュリー様ぁ~、なにかお飲みモノッ…!?」 俺「…は、はは」 小「…」 パ「…」 微動だにしないパチュリー様、しがみついたまま… 小悪魔さんは無言でふらふらと立ち去って行く、完全に目が死んでいた。 俺「見られましたね…」 パ「それより」 俺「はい?」 パ「『様』はやめてほしいわ」 俺「そういうわけには」 パ「パチェと」 俺「レミリア様に怒られてしまいます…」 パ「早く」 俺「…パ、パチェ」 パ「聞こえないわ」 俺「パチェ」 パ「そう」 俺「…」 パ「…」 また力強くきゅっと抱きつかれる。 俺「…あ、本の続き読みますね」 パ「いいわ」 俺「そ、そうですか?」 パ「まだ、どきどきしているのね」 俺「うっ、ひきょうですよ…」 パ「そうね」 俺「…」 パ「…なら、あなたも確かめてみて」 俺「え!?」 パ「早く」 俺「…」 パ「早く」 俺「は、はい」 ' , ', ! \ \ ' , _,,.. -‐''"´ ̄`"'' ト、.,_. ,,--,┐ \ ヽ / \ \\ r-、 ァ'´ _ト、.,__ノ ノ `ヽ,ヘ, // / ! < ∠______ ノヾ、rァ' __,ゝ‐i"`y'__]`''ー、' / ` t,// / ! / / \\ `'(__!r-‐i__」-‐'"´,i `''ー、」ー-ヘ、イ'"´.! ||||| / \ (___ \ r‐ァ'´]-‐' '/ ! ハ /!ィ' i `''ー'、/ゝ | ||||| ;t'、 ミ _______ `' 、 ヽ7´ ! !/!メ、!」 レ-rァ''iT7 iヽ」`i´! !!!」 ノ ! i / '´ i´ヽ. | .! ! !-rァ'T '、,_,ノ !__トr┘i 'r'、`'´ ;' \ 、,_____ (`ヽ;、 `ヽr、. └‐'`ゞ、ハ. '、_ノ ⊂⊃ ! ';./ ;'ゝ.,二二7i < ,.-`ヽ i_,!`ヽ、 /| !⊃ r‐-、 /! ! ヽ._」 / ! / ー┼- `ー‐ァ (´__,ノ! | `7! .i'>,、.,__'--‐',..イ! i ̄´ノ! | / ー┼- 'ーri´ヽ_/7 〈 V7「ヽ7i ̄´'ノ ! '.、 ' 、 '、 ;' \ r-iー、 --─ ! | // r-、,ゝ、!__j '; トー'i i ', `ヽ.、' / \ `ー' ' '、ゝ'ン___,,...->ア`ー-'、 ,' i | i i | ヽ. ヽソ`''ー--‐' / --─ァ ヽヽ  ̄ く ./___」_';/ ! | ! ! ! i ,ゝ-‐''ンヽ. く / rソ´`ヽ、`'ァー-‐' ,.イ/ ,' ,' ! ', く_」`7´ハ 〉 '、___ _r'ー--‐''"´ / ;' i i ,ハ ヽ !_/ヽ!__L/ く i // -イ /! ;'/ ム \ \. ├‐ rン_,,.. - / / ;' !レ'´ i `ヽ. < r-iー、 `ト、 ! 〈 i ;' / ,ハ ヽ. 'r、 / `ー' ' ノ.ノ __ ノ i V / / /! '., _r'ヘ / l 7 l 7 i_| V / ハ./ ;' i i '、 }><{ ン´/!/ \ |/ .|/ ヽヽ ∧ / ;' i ', ヽ、 i r'"ン / / o o パ「ひとつ約束してほしいわ」 俺「はい」 パ「毎日わたしに会いに来なさい」 俺「はい」 パ「それとずっと私のそばにいなさい」 俺「はい」 パ「毎日好きだと言いなさい」 俺「はい」 パ「それと絶対に私に逆らってはダメよ」 俺「…はい」 パ「あとは…えーと」 俺「あの、全然一つじゃないんですけど…」 パ「ふふ、そうね」 彼女はとても満足そうに笑った。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 10スレ目 400 「パチュリー様?大丈夫ですか?」 ひゅうひゅうという音、顔色も悪い 「・・・発作が出ておられるようですね・・・白湯をお持ちします」 「だい、じょうぶ・・・すぐ治まるから」 とても大丈夫そうには見えない とりあえず埃の多い図書館よりも部屋の方がよかろう そう判断した俺はとりあえずパチュリー様を移動させる事に 「・・・失礼しますよ」 「えっ!?ちょ、ちょっと」 「大人しくしていてください、発作が悪化します」 「・・・」 俺はパチュリー様を抱えて(そこはもちろんお姫様抱っこで)パチュリー様の部屋へ向かった 「ベットに横になって・・・膝を立てて腹式呼吸を・・・そうです、すぐに白湯をお持ちしますので」 「あり、がと・・・永琳から貰った薬があ、るからすぐにおちつくか、ら」 棚から小瓶を取り出し小さな薄いオレンジ色の錠剤を取り出す しょうがないので白湯を取りに厨房まで行くことにした 「・・・まぁこれぐらいでいいだろ、あんまり熱くてもかなわんからな」 熱いポットとカップをお盆に載せて・・・後は何もなかったかな? 「また発作?」 「あ、メイド長」 はろーと軽く手を振られる、もう夜なんだが・・・ 「この季節になるとどうしても辛いみたいね・・・まぁ辛さはわかりようがないけど」 「・・・とても辛いと思いますよ、あのパチュリー様が弱気になるほどですから」 「へぇ・・・引き止めて悪かったわね、それじゃあ」 コツコツと足音が遠ざかっていった メイド長も心配してるんだな、わざわざこんなところまで 「パチュリー様?」 「○○、ありがと・・・だいぶ良いわ」 「そのようですね・・・今日は早めにお休みください、ここで油断すると悪化しますよ」 顔色もさっきと比べればまぁ良い、呼吸も今は落ち着いている 「・・・ねぇ○○、一緒に寝ましょう?」 「なななな、何をおっしゃてるんですか!?わ、私も一応男ですので・・・」 「○○は喘息の発作で苦しんでいる私相手に欲情できるような人じゃ無いでしょ?それぐらいは知ってるわ」 「いや、しかし・・・」 「夜中に発作が出たらどうするの?アナタの部屋までとてもじゃ無いけど行けないわ、大声も出せないでしょね」 「・・・」 「お願い、あなたがいると安心できるの・・・お願い○○」 「わ、わかりました・・・喜んで」 「ふふ・・・ありがと」 辛そうだが、とてもいい笑顔に見えた 結局ベット脇に毛布に包まって寝た、同じベットで寝るというパチュリー様の提案を却下して そしてその夜、発作が悪化したパチュリー様を抱えて永遠亭まで走ったのだが・・・それはまた別の話 end ─────────────────────────────────────────────────────────── 10スレ目 438 本を読んでいたパチュリーが唐突に口を開いた。 「何かくれなきゃ悪戯するぞー」 「……」 「……」 唖然、とはこういう事を言うのだろう。 俺と小悪魔はかける言葉が見付からない。 黙り込む俺達に、パチュリーは真っ赤な顔で抗議する。 「何か言う事は無いの? 恥ずかしいじゃない」 なんか可愛い……。 パチュリーってこんな事もするんだ。 しかし、いくら今日がハロウィンで素で魔女だからってこれはどうなんだろう? 「可愛いな」 「可愛いですね」 「むしろ悪戯されたいな」 「されたいですね」 言ってにやつく俺と小悪魔に、パチュリーは更に顔を赤くして 「馬鹿! ○○と小悪魔なんてもう知らない!」 そう言って再び本に視線を戻した。 今日も図書館は平和だ。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 12スレ目 356 うpろだ818 あなたとみる世界はとてもうつくしくて、あたたかくて、しろくて、とうといのだ。(そう、それはまるで、あなたのように。) 「おっしゃっ出来たぞー!パチェ、ちょ、来い!!」 「・・・はーい(声おおきいわねぇ)」 「遅せぇーぞ!早く来い!パチェ、はやく!」 「わかってるわよ、今行くからっ!」 きゃんきゃんと子犬のように(あんなに大きいのに、子犬。雪にはしゃいでいる、可愛らしい犬ね)大声を上げ続けている○○に叫び返したら、彼の動きが一瞬止まった。 が、すぐまたぶんぶんと腕を振り回しだす。 …こんな寒いのに、元気なこと。 久しぶりの外は冬景色で、私はただ歩くだけで凍て付くような冷たい風に変わる外気に震えながら、首までずり落ちていたマフラーを引っ張って鼻先まで上げた。 まだ少し距離が遠くてきちんと表情は見えないけど、たぶん彼はにこにこ笑ってるんだろうと思う。 真っ黒のロングコートには、ところどころ雪がくっついている。 キラキラと光を放ちながら、さらさらと溶け出すそれは、私が前に○○にあげたマフラーくらいに真っ白だった。 編み物なんて知識はあってもした事はなかったから全然上手に出来なくて、自分で見ても歪だったから、つけなくてもいいと言ったのに。 つけないどころか、洗濯しないの?って聞いても絶対にマフラーを手放さない彼の姿をふと思い出して、少し苦笑した。 苦笑と言っても苦しいから笑ったわけじゃなくて、幸福だから漏れた笑い。 私は自分の笑った顔がそんなに気に入ってなかったけれど、この時の顔だけはなかなかいいんじゃないかと自惚れている。 だって、○○もこんな顔でよく笑っているのだ。 (幸福そうな、幸福そうな。私よりも、もっと綺麗で、純粋で、あたたかいけれど) 「なに、どうしたの」 「見せたいものがある」 「見せたいもの?」 「おう!」 ぜってぇ驚くぞ!!○○がけたけたと大声で笑う。 色白の頬は赤く染まっていて、真っ白な景色に柔らかく色をつける。 夏の激しさが嘘だったように、優しく降りそそぐ太陽の光を浴びた黒髪は、輝きを失うことなく揺れていた。 伸ばされた手は厚い手袋に包まれていて私の一番好きな手のひらとは少し違う様子だったけど、握ってしまえばいつもと変わりが無い。 大きくて、心地の良い温度。 絡めた指先は○○の手袋と私の手袋とに阻まれてごわごわしていたけど、いつもより強い力が加わっていたので悪くない、と思った。 葉を落とした茶色い木の枝に乗っかる冷たそうな塊。 歩くたびに響く、かき氷にスプーンを突っ込んだときみたいな、ざくざくという音を聞きながら、ふたり並んで歩く。 ○○は上機嫌に鼻歌を歌っていて、私はそれを黙って聞いた。 聞いたことないから、たぶん外の世界の歌だと思う。 今真面目に聞いて、覚えて。後で歌って驚かせてやろう。 そう思って内心ほくそ笑んでいたら、○○が唐突に「あ」と言った。 「どうかしたの?」 「あのな、・・・パチェ」 「何、○ま る、って最後まで言い切る前に、抱きしめられて押し倒された。(ええええええええ!?) ぼふんって音がして、雪が私たちの周りをもう一度舞った。 空を見上げたら青くて眩しくて、視界の端に貴方が見えた。 髪の毛を通り越して頭皮とか首周りとか、きちんと皮膚の部分に触れた雪は、私の体温で少しずつ溶けて水になる。 長いスカートから出ていた足の下の雪は直接当たって、冷たかった。 まだ熱を持っているのは、○○に握られたままの指先だけ。 倒れる前に微かに見えた、雪上に引かれた下手なラインは、確かに相合傘のかたちで。 (見せたかったものは、これか)(ああどうしよう、なんて、なんて。) 「なにするのよ○○」 「相合傘、作ったんだ。線引いて」 「だから?」 「俺とパチェがその上に乗ったら、完成するだろ。これ」 ぎゅうと手を握る力がもっと強くなる。 上半身だけ起こしてみたら、相合傘の形の上の私と○○。 どこの漫画よ、と思わず笑ってしまいそうな光景だけど、とろけそうな顔で微笑んでいる、○○の優しい視線に笑うことも出来なくなる。 うそ、こんなに嬉しいなんて。 どきどきと早く動きだす私の心臓は、私と同じくらい愚かだ。そして恋をしている。 頭にハートの形のついた、同じ傘の下にいる彼に。 服はじわりと水を吸ってきていたけど、もう気にならなかった。 「すげーだろ」 「うん すごい」 「驚いた?」 「ええ とっても」 「・・・ほんとにそう思ってんの?」 思ってるわよ。本当かよ。思ってるって。いやでもパチェ、 まだ何か言おうとする○○のマフラーを掴んで引っ張って、そのまま頬にキスをしたら、彼の頬は私の唇が冷たかったせいでない(と思うのは自惚れじゃない?)赤に染まる。 もうコートにくっついているどころか、乗っかってしまっている雪を掃ってやりながら、私は笑った。 そうそれは貴方と同じ幸福そうなあの笑顔。 赤い頬のまま笑いあう私たちは、つめたくてあたたかい雪の中で、本当に相合傘の一部になってしまったよう。 「パチェ」 「なに、○○」 「俺たちもうこれで永遠だと思わない?」 「相合傘に守られてるから?」 「・・・パチェがこんなに傍にいるから」 どこの漫画よ、笑う前に騒ぎ出す私の心臓をさらに騒がせるのは、頬だけにじゃない貴方のくちづけ。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 12スレ目 643 うpろだ863 ――それじゃ、また。 そう言って彼は帰っていった。あとに残されたのは静けさが支配する本の寝所。 気のせいか彼がいなくなったことで温度が少しだけ下がったような気がする。 だから、だろうか。 私は読んでいた本から顔をあげ、席を立った。そして、さっきまで彼が使っていた椅子に意味もなく座ってみる。 ……あったかい。 あ、やっぱりダメだ。頬がにやけてしまうのが押さえられない。こんなところ誰かに見られでもしたら余裕で死ねる。死因はきっと喘息の発作。 ほんとうに、私はいつからこんなになってしまったのだろう。魔女である私が、たかだか人間ひとりの事でこんなにも心を揺さぶられるなんて。 彼こと○○との出会いに特筆すべきことは何も無い。 命を救われたとか、殺されかかったとか。そんなことは一切無い、ごくごくありふれた出会いだった。 ……まああれを“ありふれた”で片付けてしまう自分の思考にすこしばかり危機感を覚えるのだけれど。 ○○は魔理沙に連れられてやってきた。例によって例のごとく魔道書を強奪しにこの図書館に来たときに。 魔理沙は「私はここらで一番大きい図書館を紹介しにきただけだぜ」と言っていたが結局何冊か持って帰ったのだから同じことだ。 もってかないでって言ってるのに、もう。 と、それで○○のことだけど。 魔理沙曰く、○○は“外”の人間らしい。服装からしてなんとなくそんな気はしていたのでさほど驚くことではなかったが、自分の目で外の人間を見たのはこれが初めてだったので少しだけ興味は湧いた。 彼は幻想郷に迷い込んだものの、こちらの世界が気に入ったらしくこっちで永住することに決めてしまったらしい。 ○○自身のことは魔理沙も詳しくは知らないそうだが、その事で話をしにいった先の霊夢も「まあ、それならそれでいいんじゃない」とあっさりOKを出してしまい、今では神社近くの里で暮らしているらしい。 こうしてめでたく幻想郷の住人と化した○○だが、しばらくして魔理沙に「どっか図書館とかないのか? 最近暇なんだ」と漏らしたらしい。 ……あとはもう想像に難くない。 実験の手伝いとその期間の食事の世話という対価を要求した魔理沙が、○○をこのヴワル魔法図書館につれてきたというわけだ。 本を折らない曲げない汚さない破らないもとの場所にちゃんと戻す貸し出し禁止。 以上のことを守るならば好きに読んで構わないと私は許可を出した。その時○○は「それは普通じゃないのか?」と言っていた。 ……○○、それを守れない輩が約一名いるのよ。具体的にはあなたをここに連れてきた張本人が。 それを言うと彼は苦笑していた。 それから○○はここに通うようになった。 とはいえ里での仕事もあるのだろう、毎日という訳ではなかったがそれなりによく通ってきていたと思う。 門番とレミィには話を通しておいたので問題ないのはわかっていたが、紅魔館まではどうやってきていたのだろうと思って以前気まぐれに聞いてみると魔理沙がいるときは魔理沙に頼んでつれてきてもらっていたらしい。 もちろん対価は要求されたそうで。魔理沙がどうしても都合が付かない時は霊夢に護符もらって走って駆け抜けているとのことだった。 ともあれ。 ○○はここにいる間は無駄に話かけてもこなかったし、ほとんど無言のまま本をひたすら読み漁っていたので悪い印象は抱かなかった。 本の扱いも丁寧だし、彼がここに来るようになってから最初は小悪魔以外の誰かがいるというのは違和感があったけどそれもすぐに消えて言った。 ――だから、私の中での○○の在り方が大きく変わったのはそんなある日のこと。 その日は何故か○○は魔道書とにらめっこしていた。 いつもとは違い、隣にいた小悪魔に何度も質問しつつ眉間に皺をよせながら少しずつ読み進めていた。 そんな○○と小悪魔の様子がたまたま目端に入って、少しだけ私も興味をそそられて覗いてみたんだった。 本そのものはなんのことはない、初心者向けの魔道書だった。理論も簡単なものしかのっていない。 きっとそれすら読めないのだから○○は魔道の才能はないのだろうなあと思い、けどそれでも必死になんとか理解しようとしている○○を見て興が乗ってその本に載っている指先に小さな灯りを燈す魔法を目の前でやってみせた。 ……その時浮かべた○○の表情を私はいまでも忘れられない。 ○○はそれを、まるで子供のように目を輝かせてみていた。 人間からすればどうということのない事なのかもしれない。些事なのだろう。でも、それでも。 永き時を生きてきた者からして見れば彼の浮かべた表情は胸をつくような、締め付けつけるようなものだったのだ。 少なくとも私はそう感じていた。 その後、彼は当然のように私に教えを請い、私もそれを承諾した。そういえば小悪魔がやけに驚いていたっけ。 普段の私をよく知っているのだからその反応も当然といえた。……だって他ならない私自身が承諾してしまったことに驚いていたんだから。 そして私は○○に魔法を、とりあえずあの指先に灯りを燈す魔法を教えることになったのだが。 なんというか。教え子として○○はどうみても落第だった。 はっきり言うと才能の「さ」の字もなければ、資質の「し」の字も無い有様だった。 それでも引き受けたからにはこのままでは魔女の名が廃る。 様々な手を尽くして、もうこれ以上どうしようも無いというところまでやって、二年という歳月を消費してようやく――彼は灯りを燈す程度の魔法を使えるようになったのだった。 あの時の妙な達成感は思わず小悪魔と手を取り合うぐらいに大きいものだった。 そんな私の側に○○が寄ってきた。まだ魔法を使えたという興奮が冷め遣らないのだろう目にはあの時の輝きが宿っていた。 そして私と目をあわせるなり、本当に嬉しそうな声で○○は言った。 『ありがとう。パチュリー』 ……――ああ、私のバカ。 ○○に魔法の才能がないなんてどうして思ったんだろう。 そんなわけないじゃない。だって彼はずっと前から魔法を使っていたんだから。 私がそれに気付かなかっただけ。そして気付かぬまま彼の魔法にかかってしまっていただけなのに。 この胸に宿る熱が、鼓動が、ふとしたときに○○を追うようになっていた視線が、その証。 自覚してしまえばもう止められない。人間と妖怪という避けて通れない壁もあるけれど、今はとりあえず保留にしよう。 だって。私、パチュリー・ノーレッジは 間違いなく、○○に恋してるのだから。 「はあ……」 ○○の遺した熱を感じながら私はまた彼のことを考えてしまっていたようだ。 最近はいつもこうだ。おかげで○○がいるときも、いないときも読書に身が入らない。 ○○のことを考えるだけで胸が熱くなる。 ○○のことを思うだけで胸が痛む。 ○○のことを見つめるだけで胸が張り裂けそうになる。 ほんとうに、重症だ。でも、それが別にいやじゃないと感じてるのだから困ったものだと思う。 ふと視線をやると、その先にあった暦はもうすぐ如月を指そうとしていた。 ……そういえば。○○が毎年外の世界では如月の月になると――。 「小悪魔、いる?」 「はい? どうかなさいましたかパチュリー様」 「探してほしい本があるの。外の行事について詳しく載っている本を持ってきてちょうだい」 「はい。その行事について名前とかわかりますか? わかればそれだけみつけやすくなりますけど」 「そうね……確か『バレンタインデー』だったかしら?」 私がこんな風に、貴方無しではいられなくなってしまったのは全部○○の所為。 だからちゃんと責任をとって? ――貴方がかけた、恋の魔法の。 ───────────────────────────────────────────────────────────
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パチュリー13 12スレ目 853 うpろだ896 1月5日 新しい研究テーマを立ち上げることにした。 基礎理論は既に構築しているので、そう苦労せずに結実を見ることが可能だろう。 今日は朝から妙にメイドたちが浮き足立っていた。 もともと騒がしい連中なのに、更に落ち着きがないとなったら、大変な目障りだ。 小悪魔によると、昨晩保護した行き倒れの人間の男が、中々の男前だとの事。 実にどうでもいい理由だった。 小悪魔がニヤニヤしながら「気になりますか? 気になりますか?」とやかましかったので、アグニシャインで燃やしておいた。 1月7日 小悪魔に伴われて、人間の男が図書館にやってきた。 先日助けた行き倒れだとの事。 メイドたちが騒ぐほどの美形ではないように思う。 何か挨拶をしてきたが、面倒なので適当に目礼を返しておいた。 そのまま放っておいたらおもむろに禁書を開こうとしだしたので、慌てて止めに入った。 普通の図書館と魔法図書館の区別がついていないらしい。 結局そのまま図書館を案内することになってしまった。 別に面白くもおかしくもなく済んだが、終始おとなしくしていてくれたのはありがたかった。あまり喋るほうではないらしい。 ただ、魔法についての話をするたびに、一々驚いていたのが印象的だった。 彼が帰った後、小悪魔がニヤニヤしながら「いやあお疲れ様でした」などと言い出したので、あんたの仕事でしょうとエメラルドメガリスで潰しておいた。 1月8日 昨日の男がまたやってきた。 帰らなくていいのかと思ったが、小悪魔によると外界からの迷い人であるとの事。 魔法についての知識がない理由に納得する。 帰る方法が見つかるまでここにいることにしたらしい。 紅魔館は普通の人間が生きていくには少々厳しい環境であるように思うが、一体何が気に入ったのか。 まあ別に私には関係のないことだ。 図書館の使用許可を求められたので、騒がないこと、私の邪魔をしないこと、勝手に本を持っていかないことなどを条件に許可した。 それはわざわざ言うほどのことなんですかと不思議そうな顔をされた。悲しい。 彼は本を持ってきて、読んで、帰っていった。 去り際にまた来ますね、と言ってきたので、そう、と適当に返しておいた。 私としては、私の邪魔にさえならなければ、いてもいなくてもどうでもいい。 小悪魔がニヤニヤしながら、「恋の予感ですか?」とよくわからないことを言ってきたので、プリンセスウンディネで頭を冷やしておいた。 2月13日 今日は特筆すべきことはなかった。研究も引き続き順調に推移している。 無理をして一点挙げるとするなら、○○の姿を今日は見なかったことだろうか。 このところは毎日来ていたように思うが、あまり注意していなかったので本当にそうだったかはよく分からない。 聞いてもいないのに小悪魔が、彼が風邪を引いたらしいということをしつこく言ってきた。私にどうしろと言うのか。 それを問うと、ニヤニヤしながら「またまたあ。わかってるくせに」と意味不明なことを言ってきたので、マーキュリポイズンで沈没してもらった。 2月14日 今日は朝から妙なことを言われ通しだった。 まず起き抜けに顔を合わせるなり小悪魔が「部屋は二階の掃除用具入れの隣ですよ」と言い出した。誰の部屋だ。 朝食の席に行こうとすると廊下で門番と出くわし「酷い風邪だそうで。このたびは大変でしたねえ」と慰められた。なぜ私が大変なのか。 席に着いたら着いたでレミィが「そういえば、あいつの容態はどうだ?」と聞いてきた。私が知るわけがない。 挙句の果てに咲夜が「薬膳を作ったのですが。持っていっていただけますか?」などと言って怪しげなスープを押し付けてきた。自分で持って行けと思った。 妙な臭いに辟易しながら持っていくと、○○はベッドで眠っていた。確かに風邪のようで、高潮した頬や湿っぽい吐息がその症状を伝えていた。 ベッド脇に土鍋を置くと、その音に反応して、一瞬だけ薄目を開けたように見えたが、消耗しているのか、すぐにまた眠りに落ちていった。 看病など柄でもないのですぐに立ち去ろうと思ったが、せめて床に散乱しているシャツくらいは椅子にでも掛けておいてやろうかと手に取ると、 「おう、風邪引いたんだって? 調子はどうだ?」と言いながら扉を蹴破るようにして魔理沙が入ってきた。 しかし魔理沙はシャツを持つ私を見ると急に頬を赤らめ「あー、すまん。これを渡しに来ただけだから。義理だから全然心配しなくていいぜ」と 早口で言いながら、私に小さい箱を押し付けるやいなや「じゃあお前から渡しておいてくれよ。まあなんだ、邪魔したな」と、 困惑する私を尻目に去っていった。 意味が分からないので箱を開けると、「義理 Marisa.K」と白文字で大書されたチョコレートが入っていた。 そういえば、これまでは女所帯なので大して気に留めることもなかったが、今日は確かそういう風習がある日だった。 もっとも、男がいたとしても気には留めなかったと思うが。 それも土鍋の横において部屋を出る。なんだかよく分からないが、まだ朝だというのに異様に疲れた。 図書館に戻ると、小悪魔がニヤニヤしながら「看病イベントですね! これでフラグが立ちましたよ」とこれまた意味不明なことを言ってきたので、 ジンジャガストで薙ぎ倒しておいた。 2月16日 驚愕の事実が判明した。 どうも周囲からは、私と○○が両想いの仲だと思われているらしい。 通りで先日は皆から妙なことを言われると思った。 実際には、私と○○は会話することすらあまり無いのだが、確かに図書館の外から見ると、私に会いに足しげく通いつめているように見えるかもしれない。 良い悪いという以前に困惑せざるを得ない事態だ。実験にも身が入らない。 考えていると、間の悪いことに当の本人がやってきた。もう大丈夫なんですか、という小悪魔の質問に、ええおかげさまで、などと呑気に答えている。 こちらの身にもなってほしいものだ。 ○○がこちらを向いて、パチュリーさん一昨日の朝に来てくれましたよね、と言ってきた。あいまいにうなずくと、きっとあのスープが効いたんです、 ありがとうございますと頭を下げた。 あれは私じゃなくて咲夜が作ったものだと言おうと思ったが、小悪魔がさえぎるように「いやーそうなんですよー、パチュリー様ったら慣れない料理を 一生懸命、○○さんのためにですね」とよどみなく嘘を並べ立てた。○○はそれを聞き、よりいっそう感謝の念を深めたようだった。非常に困る。 彼はまた帰り際に改めて礼を言い、お返しには期待しておいてくださいね、と笑顔を残して去っていった。 小悪魔に目線で非難を送ると、悪びれずにニヤニヤしながら「だって本当に両想いになったほうが面白いじゃないですか」とうそぶくので、 セントエルモピラーで爆破しておいた。 2月28日 どうにも先日以来、○○が来ると調子がおかしくなって困る。 それもこれも、あの両想いだとか何とかいう噂のせいだろう。 何度か否定してみても、誰もが「またまた照れちゃって」という顔をする。まったく信じてくれないのはどういうことだろうか。 小悪魔によると、○○と私は「静かで本好き」という共通点があるため、きわめて「お似合い」であるのだそうだ。意味が分からない。 その○○は今日もテーブルの隅でページをめくっていたが、こんな状況ではその様子が気になって何度も目を向けてしまう。 一度は○○がそれに気づいて目が合ってしまい、慌てて視線をそらしたほどだ。まるでこれでは本当に恋仲のようではないかと、我ながら呆れてしまう。 そういえば○○はこの噂を知っているのだろうか。知っているのだとしたら、それについてどう思っているのだろうか。以前なら気にも留めなかっただろう 些細なことが、なぜか今はとても気になった。 あと小悪魔がニヤニヤしながら「いやあ青春っていいですねえ」と言ってきたので、エレメンタルハーベスターで削っておいた。 3月13日 本を読んでいる○○の元に狐の式神が訪れた。 そろそろ春、隙間妖怪が目覚める時期なので、それにあわせて外界に帰る算段をつけたいとの由。 ようやくと言うべきか、これで私の精神にも平穏が訪れるというわけだ。 しかしあろうことか、○○は狐に、帰るつもりはありませんと言った。 私の心臓はなぜか跳ね上がり、狐も当然驚いたが、私を見ると急ににやつきだし、何かを納得した様子で帰っていった。 そしてまた図書館は静かな状態に戻ったが、私はどうしても気になったので、なぜ帰らないのかと尋ねた。 ○○は驚いたように顔を上げたが、すぐに満面の笑みを浮かべると、僕がここに通うようになって初めてじゃないですか、パチュリーさんのほうから 話しかけてくれたの、などと言い出した。 私はそれを聞くと急に○○を見ていられなくなって、馬鹿じゃないの、と小声で言い、本に視線を落とした。 そのページに何が書かれていたのかは、あまり覚えていない。 後で小悪魔がニヤニヤしながら「あーあパチュリー様ばっかりいいですねー。私もときめきたいですー」と言い出したので、ノエキアンデリュージュで 押し流しておいた。 3月14日 そういえば結局昨日はなぜ帰らないのか聞いていなかったということに気づき、改めて今日聞いてみた。 ○○は悩んでいるようなそぶりを見せたあと、もともと帰るところなんてなかったんです、と少し寂しそうに笑った。 それを聞いて初めて、そういえば私は○○のことを何も知らないということに気づいた。知っていることといえばせいぜい名前くらいだった。 それに気づくと、私は急に○○へ質問がしたくなった。 外界では何をしていたのか。どんな本を読むのか。好きな食べ物は。そのような、まったくどうでもいい疑問は尽きることなく湧き続け、その答えを 得るたびに、私のどこかにある空白が埋まっていくように感じられた。 今日は随分と喋った気がする。今まで○○と喋った分、その数倍を今日一日で喋っただろう。 その間、本は脇に置かれたままだったが、ありえないことに、それはあまり気にならなかった。 最後に、○○は「先月のお礼です」と言って袋包みのクッキーを置いて帰っていった。 おそらく手作りだろうそれを前に私がぼんやりしていると、小悪魔がニヤニヤしながら「いらないんですかー。私が食べちゃいますよー」と 言ってきたので、ラーヴァクロムレクで撃ち抜いておいた。 3月25日 いつになく真剣な目つきの○○がやってきて、何かと思ったら愛の告白をされた。 正直○○本人よりも、「ついにやった!」という顔の小悪魔のほうが強く印象に残っている。 返事は少し待ってほしい旨を告げると、○○は分かりましたと言って、本は読まずに帰っていった。 ○○のいないテーブルは、少し広く感じた。 なんで即断即決じゃないんですかー、と不満そうな小悪魔は無視し、私は考えた。 ○○とは誰か――紅魔館の前で行き倒れていた外の人間。毎日のように図書館へ来る。 私はそれが嫌か――嫌ではない。 では、それは好ましいことか――今はそのように思える。 愛の告白を受けて、どのように感じたか――嬉しかった。 つまり……おそらく、私は○○のことが好きだ。 本当は、こんな問答を行うまでもなく、自分の答えはわかっていた。 ただ、それを認めてしまうのは、少し怖かったのだろう。 何しろ、知識以外の物事に自らをゆだねたことは、いまだかつて全くなかったのだから。 きっと、私には自分から踏み出す一歩が必要なのだと思う。 そう決心して腰を上げると、小悪魔がニヤニヤしながら「行きますか? 行っちゃいますか?」とやたら楽しげに言うので、サイレントセレナで 少し黙らせておいた。 3月26日 小悪魔がニヤニヤしながら「ゆうべはおたのしみでしたね」と言ってきたので、ロイヤルフレアで蒸発させておいた。 6月30日 6月の花嫁は幸せになるという俗説がある。それになぞらえたのかどうかは知らないが、とにかく今日、私と○○の結婚式が執り行われた。 わずか半年前、過去に戻って「お前は来年の6月に結婚する」と言ったら信じるだろうか。とても信じまい。実に隔世の感があった。 ただ隣にいる、慣れない礼服に辟易した様子の○○の存在が、これは夢ではないということを告げていた。 控え室で○○が、言ってなかったけど、ここにお世話になることに決めた理由は、パチュリーに一目ぼれしたからなんだよね、とぽつりと言った。 私はそれに、今更そんなことを言われても困ると思った。これから本番だというのに、恥ずかしくて新婦が新郎の顔を見れないというのでは式にならないから。 結婚式の様子については、多く語ることもない。館のメイドたちやそれなりに多くの人妖が私たちを祝福し、私たちはその祝福を受けた。 式は西洋の作法にのっとって行われた。もちろん神父などというものを呼ぶはずもないが、代わりに紅魔館のエントランスに設けられた高台にレミィが立ち 「おいお前、パチュリー・ノーレッジを妻とし、病める時も健やかなる時も、生涯愛することをこの私に誓え」とものすごく偉そうなことを言っていた。 ○○は私の目を見て笑みを浮かべると、レミィに向かい、誓います、と言った。 その言葉だけで、私は幸せになれた。 ことはそう単純ではない。そもそも寿命も異なるし、今後どうしていくのかということも不透明だ。 ただそれでも、その言葉を聴けただけで、今の私は、これはきっと間違いではなかった、と思えた。 次いでレミィが私にも問いかけた。私もまた、レミィに誓った。 ありきたりな言葉だけれど、きっとその誓いが、二人で生きていくということなのだろうと思う。 そのあと、小悪魔が泣きながら米粒を投げてきたので、花束を叩きつけておいた。 9月30日 今日で結婚から3ヶ月経ったことに気づいたが、生活が何か変わったかというと、実のところそれほど変わったようには思えない。 私は相変わらず図書館で本を読んでいるし、○○もまた、館の仕事をこなしては図書館へとやってくる。 今日、唯一つ違ったのは、○○と二人本を読んでいると、小悪魔が知らない男を連れてきたことだった。 聞けば、彼もまた、○○と同じように外界から来た行き倒れだという。 彼は○○と違ってよく喋り、また屈託なく笑ったが、馬が合ったのか三人で歓談していた。 やがて部屋を案内すると言って男二人は出て行ったが、小悪魔がなんとなく落ち着かない様子で、そわそわと立ったり座ったり、ちらちらと 扉に目線を送ったりしていた。 私はピンと来るところがあり、ニヤニヤと笑みを浮かべながら小悪魔に言った。「恋の予感かしら?」 反撃はなく、ただ小悪魔は酷く赤面した。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 12スレ目 887 退行したぱっちぇさん。 「ねぇねぇ○○」 「どうしたのパチュリー」 「あのね、お本読んで~」 「あ・・ぁ良いよ、ささ、ベッドに行こうね」 「○○~」 「なあに?」 「お本てね、食べられるの?」 「美味しくないよ」 「じゃあ食べない」 「うん」 「・・・でした、おしまい」 「ありがと~○○~」 「今日のお話は面白かった?」 「ん・・・わかんない、でも」 「でも?」 「○○が読んでくれたから、面白かった気がする~」 「そうかい、それはよかった・・・ ところでパチュリー」 「?」 「ぎゅってしたいのは良いが腰に抱き着くとポジション的に」 「そ、そ、そ、そそそそそこまでですぅ!」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 12スレ目 970 うpろだ925 「うう……」 口から言葉が漏れると同時に無意識で本を開く手が止まった。 集中して読んでたはずなのに、思わず呻いてしまうようなこの匂い。 いや、匂いそのものはまったくもって問題ない。 甘くていい匂いだ。 ……だから問題なのはその量。甘い匂いがこれはありえんだろうというくらいに充満している。それも紅魔館中に。 そもそもこのヴワル図書館にまで届くような匂いってどういうことだ。 しかし本来このことにお怒りになられるはずであろうパチュリーはというと、今回はこの匂いを生産する側。 お嬢様、妹様、中gもとい美鈴さん、咲夜さんも同様だ。 加えて紅魔館で働くメイドの数を考えれば……いややっぱありえない。どう考えてもおかしい。 一体どれだけの数の『チョコレート』がこの紅魔館にあるというのだろう。 想像することすらもはや不可能っていうか想像したくない。 流石は悪魔の館というべきなのか。なにか間違ってる気がするけど。 ――今日の日付は2月14日。つまるところ完全無欠にバレンタインデーだった。 「つってもなあ」 一体なんで幻想郷に外の世界の行事なバレンタインデーがあるのかとかはこの際おいとく。 しかしこっちであるからといっても俺にはさほど関係が無い。 確かにこっちに来て女の子の友人がやたら増えたが、まあ義理チョコ一個くらいもらえれば御の字と思ってるし。 本命? ははは、ばかだなあ。そんなの天地がひっくり返ってチルノが⑨じゃなくなるくらいありえない。 もう期待すらできなくなった俺の外での経験に涙がでそうだ。 く、くやしくなんかない! ……でもパチュリーが生産する側ときいたからちょっとだけ期待もしてたりもする。 どっか矛盾してるけどしょうがないよね、だって男の子だもん。 本を片手にニヤニヤしながらそんな事を考えていると、扉を開ける音が俺の意識を妄想から引き上げた。 目を向ければそこにはパチュリーと小悪魔の姿。 ……と同時に、館に充満していたであろう甘いをとおりこして甘ったるいチョコレートの匂いが襲ってきた。 「あががががが」 「○○? どうしたの」 「あ、いやなんでもない」 「? ……そう。じゃあ小悪魔、準備して」 「はいー」 平素状態そのままに、そう言って奥に飛んでいく小悪魔。 つかなぜこの強烈な匂いに気付かないんだ皆。感覚が一時的に麻痺してんじゃと思わざるを得ない。 救いといえば、パチュリーが後ろ手に持っているものからの匂いはここまで強烈ではないこと。 「…………」 「…………」 そして小悪魔が準備している間。 その間ずっと身体をソワソワしさせているパチュリーから断続的に俺に視線が飛んできていた。 視線が合うとそらされ、だけど恐る恐る戻して、しかしまた合うとそらす。 普段では絶対にお目にかかれないパチュリーの姿に俺はもう狂喜乱舞しそうです。キャッフー。 これはいいんですよね、期待してもいいんですよね!? 少なくとも義理はもらえるはず! しかしそんなことはおくびにも出さず平静を装う俺。 そして気付いたときにはすでにお茶会セットは準備完了しており、俺とパチュリーは向かい合うように席についていた。 とりあえず、目の前の適温に温められた紅茶を手に取り一口飲む。 ……嗅覚の影響をうけたのか、なんだか甘い。 「あの、これ……」 お互いに紅茶を飲んでいたがやがてパチュリーの方がカップをおいた。 陶器がかち合う音と同時に、すっと俺の方に小さな包装された箱が差し出される。 「あ、これチョコ?」 「ええ。……今日は、そういう日なんでしょ? 貴方は整理とか手伝ってもらってるし、本の扱いも丁寧だし、もってかないし……」 言葉を探しながら色々と理由付けしようとするあたり、らしいといえばらしい。 可愛いなあと思ったがどこぞのギャルゲー主人公のように口にだしたりはしないぜ。 「食べてみても?」 「……うん」 顔がニヤケるのを必死で抑え込みながら、包装を丁寧に剥がしていく。 この包装もところどころ曲がってたりしていたが手作り感がまた非常にグッドです。 箱を開けてみると中に入っていたのは一個のチョコレート。 ……しかしですねパチュリーさん。ハート型ってのは、こう、気恥ずかしいです。はい。 向こうもそうなのか俺が箱を開けた瞬間に俯いてしまった。耳まで真っ赤にして。 とりあえずこのハートのチョコを真っ二つに割ってしまうというバッドエンドフラグを回避すべく、端っこを少しだけ割る。 そして口の中に放り込んだ。 ……。 …………。 ………………。 「どう……?」 無言でいた俺に不安を抱いたのだろう。 恐る恐るといった感じで聞いてきたパチュリーに、俺は新たに割ったチョコの欠片をパチュリーの口の中に突っ込むことでその返答とした。 「んむ!?」 最初は一体なにを! と眉がつりあがっていたが咀嚼するにつれてだんだん眉がさがっていく。 俺の言わんとしていたことがわかったのだと思う。 そうして、こくりと喉を小さく鳴らした後 「ニガイ」 言ってから紅茶に手をつけた。 それを確認してから、俺もまた紅茶に手をつける。 チョコそのものの出来は全然問題ない。むしろかなり良いと言っていい。 しかし如何せん、苦すぎた。ビターというよりはド・ビター。つまり凄く苦い。 まあ、この甘ったるい空気の中なので俺には普通のビターより少し苦いくらいにしか感じなかったのだが。 同じものを食べたパチュリーの感想は違っていたようで。 「ごめんなさい……」 ひどく申し訳なさそうに言ってきた。 ついでにちょっと涙目。 俺の冷静な部分は「涙目のパチュリー。なんてレア……!」とか思ってたりもするが大部分では大慌てだ。 どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう!? その時。 8割がたパニックになりかけな俺の目に飛び込んできたのはティーセット一式。 ――これだっ! そのひらめきのままに、新たに注ぎなおされた紅茶に多めの砂糖とミルクを入れる。 パチュリーの紅茶にもおなじことをして例のチョコを割り、二欠片つくって片方をパチュリーのソーサーに置く。 そして俺の奇行に向けられるじと目はとりあえず無視してチョコを再び口に放り込んだ。 「あ……」 小さな声が聞こえたような気もしたけどそれも無視。 口の中で砕かれたチョコが熱でゆっくりと溶け、苦味が広がっていくところにさっき作った甘めのミルクティーを含む。 すると二つの味がちょうどいいかんじに混ざり合っていって―― 「ん。うまい」 素直な感想が口から出た。 俺がそう言うと、確かめるようにパチュリーもおなじようにしてチョコを食べる。 するとこちらも少しだけ驚いた顔で 「……おいしい」 と言った。 まあやった事といえば、苦ければ甘いので打ち消せいいというそれだけの事なのだけれど。 今回の場合はそこにミルクが加わったことで、砂糖の尖った甘さがマイルドになったのだ。 チョコの出来はいいんだし。口当たりの良さは抜群だった。 ともあれ、僅かな変化ではあるがパチュリーも笑顔を浮かべてくれているみたいだしよかったよかった。 涙目なパチュリーも可愛かったけれど。 やっぱり……その、好きな人には笑っていて欲しいし、そっちの方が断然イイ。 改めてそう思いながら俺は手に持っていたカップを静かに置いた。 「チョコ、ありがとな」 「どういたしまして」 はにかみながらも笑顔を向けてくれたパチュリーに、思わず赤面しながらそれを誤魔化すためにまたチョコを一欠片口に入れる。 口の中に広がる苦味を感じながら思った。 ――まあ、こんなバレンタインも悪くないかな。 ……後日、図書館中に染み付いたチョコの匂いにパチュリーが遅れて激怒した。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 216 「―ゴホッ、ゴホッ」 「……やれやれ、またか」 ここ何日か、パチュリーが俺をつけ回してる。 いわゆるストーカー、なのだが…… 「また発作だな?ほら、背中さすってやるから」 「ゴホッ……あ、ありがとう……」 「なあ、もうやめたら?俺は絶対浮気なんかしないし、 何よりパチュリーにはストーカー向いてないって」 「……だって、貴方を他の誰かに取られたらと思うと、私……」 体力がなく、動き回るのになれていないのに 外をついてくるもんだから、 発作を起こしたり日射病で倒れたり。 何度介抱したことか。 「せめて、小悪魔に代わってもらうとか……」 「……あの子が一番心配なのよ、ゲホッ、ゴホッ……」 こりゃ図書館に住み込むしかないかな、などという俺の思いをよそに、 今日もパチュリーはついて来るのだった。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 221 「……エヘヘ……○○とこんな感じでこう」 「なあ、パチュリー、なに読んでるんだ?」 「ちょ、見ちゃ駄目!……ハァハァ」 「寂しいなあ……。?……鼻血!おい、マジでなに読んでたんだよ!」 「証拠を……隠滅しなきゃ……」 「そんなことより早く安静に!ただでさ「大丈夫。ちょっとくらっと来ただけ……あれ?」 「どうした」 「本がない……」 「大事なものだったのか?よし、探してきてやる!」 「あ、ちょっ」 「ここにありますよー!!!!!」(小悪魔) 『放課後の淫魔な図書館』 「え?なにそ「そ、そこまでよッ!!!」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 239 じー…… パチェ「…………(読書中)」 むにっ パチェ「……………何?」 いやなんでも パチェ「…そう……(読書再開)」 むにむに パチェ「…………」 愛してるぞ 「……そう」 パチェ可愛いよパチェ ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 255 ふと思った 身長180オーバーの俺からしたら、幻想郷の女の子はみんなちっちゃいのだ 勿論想像だが、イメージ的に長身なのは師匠やこまっちゃんぐらいなものだと思う そこでその体格差を最大限に活かし、パチュリーを膝の上に座らせたい 椅子の上に座った俺の膝の上に、パチュリーが腰掛けるのだ 「これ1冊しかないから・・・」とかわざわざ言って俺の上に腰掛けてくるパチュリー 座ったはいいものの慣れない据わり心地にもぞもぞするお尻から伝わるバイブレーション 視線を下げればすぐそこにある絹糸のような紫の髪とそこから漂うフレグランス じっと見ている視線に気づいて「何よぅ」と見上げてくる不機嫌そうな瞳 それを塞ぐようにぎゅっと抱き締めて、半ば強引にその唇を・・・ …どうしてパチュリーは現実にはいないんだ ヤらしいこととかしなくていいから、一日中腕に抱いて過ごしていたいよぅ ─────────────────────────────────────────────────────────── 13スレ目 335 図書館にて―― パ「また来てたの?」 ○「ああ、ここには面白い本がたくさんあるからね。ほとんど読めないけど」 パ「そう。はい、コーヒー」 ○「お、ありがと」 パ「…………ぼそっ(日符『ロイヤルフレア』)」 ゴボゴボゴボッ ○「うあっちぃ!?」 コトッ パ「えー?」 ○「ふーっふーっ、あー熱かった。てかなんで急に熱くなったんだ?」 パ「なんでこぼさなかったの?」 ○「本のある場所で飲物をこぼすようなことはしないって。それよりいたずらしたのパチュリーだろ」 パ「ここにある本は飲物くらいかけられても問題ないしズボンにこぼしたコーヒーを拭きながら だんだんとアレな雰囲気になって○○とそこまでよ! なことしたかったのに」 ○「それが目的か」 パ「えーと、積極的に○○とアバンチュールする方法は……」 ○「おーい、そこは消極的にだろー」 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1304 ものすごい轟音と共に現れた普通の魔法使い 「パチェ~。今日も借りに来たぜ~っと。○○じゃないか」 パチェはやれやれ。といった目つきで魔理沙を眺める。 が、特に動く気は無いらしい。いつもの事。といった感じで。 「魔理沙。パチュリーの…というか紅魔館の苦労も考えような」 「いやいや○○。これは私の道だ。邪魔はさせん」 そう言って魔理沙は俺の頭を撫でる 「邪魔をする気は無いがなぁ。パチェの苦労を考えたら、一声掛けといたほうがいいな、と」 「○○。魔理沙は基本的には何を言っても無駄よ。何かを言って帰るようなら苦労はしない」 その言葉に魔理沙が食いつく 「また私を馬鹿みたいに言いやがって」 「違うの?」 「私は馬鹿じゃないぜ。図書館に寄って本を借りる勤勉な魔法使いだ。なぁ○○?」 あながち間違えでは無いが、借りるってとこがどうもパチェには気に食わないらしい。 「借りる借りるって、いつ返すのよ。そろそろ取り立てに行くわよ?」 「別にいいぜ?返却する義務はいつも課せられてないからな。お前が捕まるだけだ」 「何よそれ。勝手に取って行ってる貴女が言えるセリフなの?」 ピリピリした空気が流れる。そして俺空気。 「な…なぁパチェ。少し落ち着け。魔理沙も。な?」 「それもそうだな。○○に落ち着けと言われて、落ち着かなかったら良いことが起きない」 「いつも落ち着かないで事を悪いほうに進めてるのは貴女だけどね」 「なんだと」 更にピリピリとした空気が流れる。なんだ?今日はパチェの機嫌が悪いのか? 「パチェ。落ち着けって。なんか今日変だぞ?」 「…○○。魔理沙の事を追い返しておいて。私はちょっと自分の部屋に行くから」 「俺に任されても…」 「いいから」 「…はいはい」 これはさっさと魔理沙を帰してパチェと話す必要がありそうだな… 「なぁ魔理沙。今日は勉強もいいが休む日にしないか?いつも勉強詰めじゃあ疲れるだろ」 なんとなく変な空気と分かった魔理沙は今日は食い下がる 「…あぁ。分かった。今日は勉強と趣味を慎む日にするぜ。じゃあな」 そう言って素直に帰る魔理沙。小悪魔はドアの修理に早速取り掛かっている 「小悪魔?」 「なんでしょうか」 そう言ってこっちを見る 「パチェ、今日機嫌悪かったみたいだけど…なんか知ってる?」 「いいえ。なんででしょう?魔理沙さんが来るまでは、いつもどおりの用に見えましたが」 「だよなー。まぁちょっとパチェのところに行ってくるわ。いつもすまないが修理頼んだ」 「はいはい。パチュリー様の部屋に行ってもお話だけにしてくださいよ」 「なんだそのジョークは」 俺は苦笑いし、ドアの修理を小悪魔に任せてパチェの部屋に向かう。 「どうしたんだろう…」 本当に何なのか分からないままパチェの部屋の前に止まる。 そして一呼吸置いてノックする。 「誰?」 「○○だけど」 「…いいわよ」 そう言われ俺は部屋に入る。 パチェはベットに寝転がっている。その横に腰を掛ける 「で、何よ?」 「いや、今日どうしたのかな。って」 「別に何でも無いわ」 「そういうときに限って絶対なんかあるんだよな」 そう俺が言うとパチェが黙る 「どうしたんだよ。言ってくれなきゃわかんないぞ?」 「あんまり言いたくない…というか、ちょっと考えれば分かるわよ…」 そう言われ、俺はパチェの機嫌が悪くなったと思われる行動が、何かあったか考える 今日は図書館に来て、そろそろ図書館を仕舞おうかなー。 って思ってるときに魔理沙が来て、俺が注意して、魔理沙がさり気なく反論しながら俺の頭を撫でて 俺が微妙に突っ込みを入れた後パチェが怒って… …そういうことか、パチェ。可愛いやつめ 俺はパチェの頭を撫でる 「あぁもう可愛いなぁパチェは。俺が魔理沙に撫でられたくらいで怒って」 パチェは顔を赤くして枕に頭を埋める。やはり図星か。 「だって…私の大好きな○○が魔理沙に撫でられたら…」 「ちょっとしたことでヤキモチを焼くのが、お前のまた可愛いところなんだなぁ。パチェ。好きだぜ」 そう言うとパチェはのっそりと起き上がり、俺に抱きいて、ベットに一緒に倒れる 「今日はなんか凄い積極的だな」 俺は笑いながら言う 「だって久しぶりに○○が好きって言ってくれたんだもん。私も大好きよ。○○」 パチェも笑顔で返す そんな甘甘ムードの中ベットで二人が寝転がっている 俺がパチェの顔を見つめると目を横に反らす そこで顔を徐々に近づけて… コンコン 二人ともビクリと体が動く ガチャリ 「小悪魔です。パチュリー様。ドアの修理が終わりました…っと」 俺が小悪魔の顔を反射的に見ると、この世のものと思えないほどニヤニヤしている 「へぇー…へぇー。お取り込み中でしたか。へぇー。」 いやらしく笑いながら小悪魔は言う。 「では、失礼致します。パチュリー様」 パチェは口をパクパクさせ、目は泳いでいる。 小悪魔が帰ろうとするが、後ろからでもニヤニヤオーラが出てるのが分かる。 そりゃ、あんなシーンを見せたらな。 ガチャリ。とドアを閉め、小悪魔が出て行った 「…はぁ。見つかっちゃったな」 小悪魔にばれたらちょっかいを掛けられる。と常々言わていたが、まさかこんな所を見られるとは。 「でも、まぁ見つかっちゃったんだから、これからは堂々と図書館でもイチャイチャできるわね。しないけど」 「ま、そうだな。見つかったんだからしょうがないな」 俺とパチェは楽しげに笑う。 「○○。さっきやろうとしてたことは、結局無しになったの?」 パチェは目を閉じて言う 「いやいや。そんな分けないだろ」 そう言ってキスを交わす 「もうせっかくだしこのまま寝ちゃう?」 「う~ん。まぁそうだな。時間も時間だし」 魔理沙が趣味を働く時間は大抵真夜中だ。 「じゃあ髪縛ってるのはずしてくるからちょっと待ってて」 「あ、俺はずすよ」 そう言ってパチェを後ろに向かせてそれをはずす 「はい。とれたよ」 「有難う」 「相変わらず、髪。凄い綺麗だな」 「○○に撫でてもらえるように髪を綺麗にしてるから…」 「そんなことをしなくても、パチェは可愛いさ。俺もお前にもっと好かれるように、格好良くならなきゃな」 「大丈夫よ。○○は、世界で一番私の好きな人だし、世界で一番格好良いから」 二人とも、ウフフ。と遠慮がちに笑う 俺はパチェの髪を撫でながら眠りに付く。 朝起きて、腕が痺れててもまぁ良いか。それは幸せな痺れだと分かっているから。 ───────────────────────────────────────────────────────────
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パチュリー 加入条件:ステージ開始時に加入 初期装備:ファイアー 初期能力 Lv クラス HP 力 魔力 技 速さ 幸運 守備 魔防 移動 武器レベル 8 魔道士 21 0 6 7 9 9 3 5 6 本C 成長率(%)【試行回数100回】 HP 力 魔力 技 速さ 幸運 守備 魔防 17 0 43 54 23 69 0 25 ステータス上限 クラス HP 力 魔力 技 速さ 幸運 守備 魔防 賢者 ? ? ? ? ? 30 ? ? 特徴 原作みたいに「病弱キャラ=成長率悪い」と思いきや普通に成長する。 HPの伸びの悪さは仕方ない。守備も職業上全く上がらない。 ただ幸運と魔防は同門の魔理沙・アリスよりも成長する。 魔力と技は育つと20を超えて中盤から終盤で魔法攻撃の主軸となるが 速さがヘタれやすいので少し威力のある重い魔法を使う時は2回攻撃できないこともあるので注意。 魔力が高いのでHPと魔防が高い相手以外は大抵一撃で倒せたりするけど。 終盤になると魔防が20超えすることも多いのでやっかいな魔竜やウォーム使い潰しに大活躍するだろう。 加入時期の早さから賢者になって攻撃よりも杖使いになっていることが多い。魔力が高いのでライブの杖を使うだけでもかなり回復する。 支援キャラとの相性もよく、魔理沙・アリス・レミリア・フラン・小悪魔を3マス以内に配置させて避ける盾状態を楽しめる。 避けすぎて相手の命中率がバグるほどだ。 守備が低く杖装備させていると狙われやすいのを逆に利用できる。当たると死ぬけど。 支援会話 魔理沙 (レベル3MAX時) アリス (レベル3MAX時) レミリア (レベル3MAX時) フランドール (レベル3MAX時) 小悪魔 (レベル3MAX時)
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パチュリー16 新ろだ2-205 「暑すぎるだろう……」 図書館で机に突っ伏している○○は、 季節は梅雨入りしているはずなのに、燦々と照らされているであろう外の様子を思いながら、そう一人愚痴をこぼした。 「人間は大変そうねぇ、私は魔法でなんとかなっているけれども」 そう、本から顔を上げないままに言うのはこの図書館の主、パチュリー・ノーレッジである。 「こちとら普通の人間だからねぇ……そんな便利な特殊能力なんてあるはずもないから、必死で手を扇ぐぐらいしか出来ないのよ」 「不便なものね……あ、本で扇いだら燃やすから」 そうナチュラルに脅してくる彼女を横目に、再度比較的ひんやりとしている机へと顔を横にする。 例年のこととはいえ……暑い。 むしろ熱い。 毎度のことながらこの季節は苦手だなぁ…… 「確かに今年はそれなりに暑いようね、レミィも『また霧でも出そうかしら……』とか言ってたわね。 巫女に串刺しにされるわよ? って言ったら大人しくなったけども」 ――でも意外と巫女も喜んで此処に入り浸るかもしれないわね。 そう言ってクスリと笑う彼女を見て今日は何故か機嫌が良いなぁなどと胡乱な頭で考えていた。 基本彼女は本を読んでいる時は静かにしている。 本の世界に没頭しているのだろう。 だから自分も邪魔をせず、静かに本を読んでいることが多い。 図書館の全体からすれば、読める本は多くはないのだが、それでも十分な量がある。 元々、本を読むことは好きではあったので、だからこそ自分は此処に通いつめているというのが一つの理由だ。 ――もう一つの理由は彼女、パチュリーのことが好きだからというのもあるのだが―― 彼がこの図書館に来る様になってから結構な時間が経った。 まぁ私からしたらそれ程でもないのだが、人間である彼からしたらそれなりの時間だろう。 初めは、物好きな人間もいるものだ……程度に思っていたのだが、彼は私と同じくかなりの読書愛好家らしく 本を読んでいる間は無駄な詮索も問いかけもせず、ゆったりとした時間を過ごすことが出来ている。 そういったことをすることが出来る人物というのはこの紅魔館では他に居なく、だからだろうか……彼に図書館へ通うことを許可したのは。 そんな彼も、今日のこの暑さにはだいぶ参ってしまっているらしく、珍しく本を読む手を止めて机に突っ伏している。 それが少し面白くて、本を読みながら彼へと横目で語りかける。 私は、それ程人付き合いというか会話をすることが得意ではない。 レミィとかだったら気心が知れている分気軽に話せるのだが基本的には自分の中で完結してしまうのだ。 しかし不思議と彼とだと気楽に話せている自分が居ることに気付く。 同じ趣味を持つ者通し、気が合うのだろう。 ……恐らくは。 そんなことを考えながらそろそろ紅茶にしようかしら、と思い本を整理しているであろう小悪魔を呼びつけた。 そうして小悪魔にパチュリーが紅茶の用意を頼み、しばし待っていると小悪魔が戻ってきて三人でのお茶会となる。 「しかし、○○さんもかなりの量の本を読んでいますよねー。 ここには滅多に人間の方が来ないっていうのもありますが 最近は賑やかで私も嬉しいです」 「人里の方ではやっぱり本を読む機会っていうのがあまりないからね、新聞とか阿求さんが書く本くらいだから…… ここで沢山の本を読めるっていうのはかなり助かってるよ」 「たまに来る人間といったら魔理沙ぐらいだったものね……持って行かないで静かに読んでいるだけ○○はだいぶマシよ」 「普通のことなんだけれどもね……」 そう言って苦笑する。 図書館では静かに、本は持って行かない。 普通のことのはずなんだけれどもそれで認められるとは…… そう誰かさんを思って苦笑する。 「でもさすがに今日の暑さはだいぶ参っちゃってるよ、さすがに室内だと結構蒸すしね」 「あー……確かに。 換気の方はちょっと問題ですね。 湿気は本にも悪いですしまた改善しなきゃなぁ……」 「その辺りは貴女に任せるわよ、よろしくね小悪魔」 うぇ~~~…… そんな風に涙目になる小悪魔に、二人して笑いながら紅茶の香りと味を楽しんだ。 「でも本当、○○さんが来てからここもだいぶ暖かな感じになったと思いますよ?」 そんな風に小悪魔が悪戯を思いついた様な顔付きで○○に言う。 ……少しだけ嫌な予感が頭を掠めた。 「そうかな? でも自分はここに来て本を読ませてもらっているだけだからね。 他に特に何をしているというわけでもないし」 「いえいえ、そんなことはありませんよ。 私も○○さんが来る様になってからだいぶ楽しいですし……」 ――パチュリー様もそうですよね? そんなことを言われて一瞬顔が熱くなる。 それを表情へと出さずに、努めて冷静に返す。 ……後で仕事量倍にしてやろうかしら? そんなことを考えながら。 「私は特には変わってないけれどもね。 いつも通りに本を読んでいるだけよ」 そっけなく出来ただろうか……? そんな風に思う。 「あはは、パチュリーの邪魔になっていなければ幸いなんだけれどもね」 そんな風に笑う○○にちくり、と胸が疼く。 そう、彼は本を読みに此処に来ているのだ。 決して……私に会うためではない。 そう思って。 悟られてはならない――魔女である私が、ただの人間に恋焦がれているなどということは。 そうして、お茶会も終わり再度読書へと戻ることになったのだが、しばらくすると○○が人里へと戻ることとなった。 「今日もありがとうございました、またお邪魔させていただきますね」 「構わないわ。 この図書館には貴方では読みきれない程に本はあるのだから。 飽きない限りはまたいらっしゃいな」 そう挨拶を交わし、図書館を後にする。 外へ出ると燦々と輝く太陽が憂鬱な気分にさせてくれるが、また図書館へ来れることを心待ちにし、人里へと戻った。 「パチュリー様も、外へ出る様にしたら如何でしょうか? たまには良い気分転換になると思いますよ?」 そう小悪魔に問いかけられる。 「外へ出る時間がもったいないし、わざわざ本を取りに戻るのも手間でしょう。 ……そういうことが言いたいわけではないのね?」 何が言いたいのかは判ってはいるが、あえて問いかける。 「そうですねぇ……私から言えることは特にはないのですが……」 ――我慢は身体に毒ですよ? そう言って笑いながら逃げるように図書館の奥へと消える小悪魔に苦笑して、再度本の世界へと意識を戻す。 ……そうして、独り言を呟く。 「魔女と人間の恋愛模様……この世界では異端扱いされることはないだろうとはいえ、夢物語ね」 そう呟き、本を読む。 「二人とも端から見てるとわかりやすいんだけどなぁ……まぁ時間が経てば解決するでしょう」 そう思いながら、小悪魔は笑う。 引っ込み思案で消極的な主と、同じくらいに消極的な彼を思いながら。 イチャ絵板 2008/12/23 「ん……」 背中のパチェから小声が漏れる。どうやら目を覚ましたらしい。 「あ……」 降ろしてくれと言うように体を捩る。 そっと降ろして、そして振り返る。 「○○……大変だったでしょ、ごめんね。」 「せっかく誘いに応じてくれたんだからな……。これくらい大したこと無い。」 「そう……」 呟いて空を仰ぐ。 「……空凄いね。」 「そうだな。」 「風、気持ちいいね。」 「そうだな。」 「二人っきりだね。」 「ああ。」 はにかみながら目を閉じるパチェ。 そっと、その肩を抱いて唇を寄せて…… Megalith 2011/08/18 「暑いわね…」 紅魔館、大図書館。換気をしているものの暑さは全く和らがない。 …というか、地下図書館がこんなに暑いって異常じゃないか? 「っとに暑いな…。湿度も高いし、本にカビ生えるんじゃない?」 熱でふやけた脳で初等魔術入門書を流し見ながら、半分本気で冗談を飛ばす。 残念ながら、本の内容はほとんど入ってこない。 「それは困るわね…。…それと、汗ばんだ手で本に触らないで頂戴」 汗ばんだ手で本を読んでるのはお互い様だと思う。 「じゃあ貸禁解いてくれよ…。魔法使いの森とか、涼しくて日の当たらないところで読むからさー」 "魔法使いの森"という単語に、彼女がピクリと反応する。 「…それは本気で言っているのかしら?そんなところに持って行ったら白黒に見つかって持って行かれちゃうじゃない。 それにここの蔵書は全部禁帯出よ」 だるげな声にやや怒気が混じっている。あぁ、つい先日も何やら白黒の子と弾幕してたっけ。 あの子を連想させるような言葉は避けた方が賢明かもしれない。 「水符とかで涼しく出来ないんすか…ほら、水&木符とか」 取り敢えず話題変更。 ジト目で睨まれる分には寧ろご褒美だが、もし八つ当たりされると「Wもやしの弱い方」なんて呼ばれてる俺は一瞬で消し炭になりかねない。 魔術の勉強してるとはいえ、ただの人間だしな。 指先から小さな炎を出したりする程度でも必死なレベルで、白黒には到底及ばない。 「残念ながら無理ね…。館内全体を薄く広くカバーする程度の出力と言っても、それを維持してたら私がもたないわ」 うし、気は逸らせた。じゃなくて、 そう言われてみると確かに燃費は悪そうだ。ただでさえ体の弱いパチュリーには過労働かな…。 今もフヨフヨ浮いてるけど、浮くのは慣れたら意外と簡単なんだろう。 なんて思いながら、いつもより更に血色が悪くなっている顔を眺める。 青白い肌にじっとりと汗が滲んでいてセクシー…いや、無いな…。 逆三角形に開いた口、眉間に皺、ここまではいつものパチュリーと大差ないが、暑さの所為か若干目が虚ろだ。それにちょっとフラフラしている。 流石にスペルカードを使用してでも冷やした方がいいんじゃないだろうか。 「…何やっぱもやしじゃ無理か、みたいな顔してるのよ」 「いや、暑さで倒れるのも水符"マジカル☆冷房"の疲労で倒れるのも同じじゃね?という顔。 このままでも倒れそうだよ?」 「誰が、このもやし折れそうよ…」 「言ってない言ってない。 寧ろ俺の方がもやしってか最近微妙に日焼けして腕がポッキーだよ。この時期の半そでは危険だね。 パチュリーは運動不足で腹筋無くなりすぎて、お腹の辺りが胃下垂でぽちゃりーだから俺の方がよっぽどもやしだヨ!」 「…殺ス…」 ん、今気づいたけどこれちょっと本気でやばくね? 俺じゃなくてパチュリー。目の焦点が合ってない。と思った刹那パチュリーの姿が揺らぐ。 「ちょあっ!?危なっ!」 手にしていた本を放り出して駆ける。 4mくらいの高さとは言え無抵抗に落下したら流石に…っ! ガシッ! かっこよくお姫様抱っこ!間に合った! …と安堵すると同時に、ペキゴキッという不吉な効果音。 そして数瞬後に襲ってくる激痛と、吐き気。 落下の衝撃は殺せたようだが、そのまま脱力してパチュリーを床に寝かせる。 腕に力が入らないので寝かせるというよりも落とすような勢いになってしまったが、垂直落下するよりは大分マシだろう。 ちゃんと足から下ろせただけ上出来だと思っておこう。 …うん、左腕骨折、右肩脱臼ってところかな…。もやしな自分が恨めしいぜ…。 あ、涙出てきた。 さて、痛みで意識が飛びそうだが、最後に一仕事しなければ…。 このまま意識失ったら某鴉天狗の新聞に「Wもやし、熱中症にて心中」等と書かれかねない。 「だれかああああああああああ!?たああああすけてええええええええええええええええええ!?」 あらん限りの力で声を上げた後、視界が暗転した。 気が付くと、救護室のベッドで横になっていた。 「パチュリー様、おはようございます。体調は如何ですか?」 ベッドの横には子悪魔の姿。その奥には両腕を三角巾で釣った彼がベッドに腰掛けていた。 少し記憶が曖昧だ。 確か、暑さで意識が朦朧としてそれから…その後を予想してみる。 「…私が落ちそうになって、それを貴方がキャッチ。その衝撃で腕を損傷した?」 「あはは…ご名答。」 彼が苦笑する。 「…全く、もやしの癖に無理するんだから…」 ―でも、ありがと。 心の中で付け足す。 口に出したわけではないのに何故か気恥ずかしくなって顔が熱い。 何よ、これ…。 「ところで、腕が折れる程私は重たかったのかしら?」 よく判らない感情を追い出すように、話題を変えてやる。 「んや、俺の骨が重力加速度に負けただけだと思うよ…ほら俺ポッキーだし…。 若干お腹が気になってるからって大丈夫だよ。それ、脂肪じゃなくて内臓だからサ」 さっきの感情を慰謝料付きで返せっ! 「誰のお腹がゴォフッ!ゲホッゲホ!」 「パチュリー様!大丈夫ですか!?あまりパチュリー様を興奮させないでください!」 慌てて小悪魔が背中を擦ってくれる。全くこの男の辞書にデリカシーという言葉はないのかしら。 もし落丁してるのならばいつか返品してやらないと…。 「いや、いっつもローブだし、気にしてるのかと…」 「ハァ、ハァ…別に、お腹は出てないわよ…。何なら触ってみる?」 「「えっ」」 彼と小悪魔の声がハモる。当然だ、何言い出してるんだと我ながらに思う。 少し興奮しすぎたかしら…。 でも、一度発した言葉は撤回できないしそのまま反応をうかがってみる。 …暫しの沈黙。 そして彼が何かを決意したような表情で言った。 「…じゃ、じゃあお言葉に甘えて…」 あぁ、いつもの変態(彼)だ。 少しぎこちない動作でこちらのベッドに腰をかけ…、 「って、何で後ろからなのよ」 「正面からだと流石に恥ずかしいんだよ…」 どうやら、口でセクハラ発言する癖にいざ許可してみたら逆に奥手になるタイプのようだ。 …さすさす。 さす……。 ぐ、ぐに。 ぐいぃぃ。 「…思ってたほど…ぽちゃりーじゃない…」 「ちょ…触っていいとは言ったけど何掴もうとしてるのよ。ていうか何その残念そうな声。 後ぽちゃりー言うな」 「…」 「…何、急に黙ってるのよ…」 実は本当にぽっちゃり専なのだろうか。表情を伺えないのが煩わしい。不安がよぎる。 と、 「ギュー」 「ひぁっ!?」 いきなり抱き寄せられた。 「ゴメン…可愛いくテ思ワズ…」 表情は判らないけど、尻すぼみになっている彼の口調から察して恐らく耳まで真っ赤になってるのが予想できた。 「…なによ、こっちまで恥ずかしくなるじゃない…」 「ぁー、折角だからもう少し、くっつかせて」 「…しょうがないわね…。お礼も兼ねてさっき読んでた本、読み終わるまでだったら許可してあげる。 あ、途中で暑くなってきたらそこでストップかけるかもしれないわね」 「クンカクンカ」 「!? 何匂い嗅いでるのよ変態!…多分汗臭いわよ…」 「シャンプーや石鹸の匂いを嗅ぎたい訳じゃない。パチュリーの匂いを嗅ぎたいんだ。全く問題ない。 寧ろ…いや、何でもない」 何を言おうとしたのか何となく察しは付いた。 口に出してたら流石に私も賢者の石を使わざるを得なかったわ。よく我慢したわね変態もやし。 「………。 はぁ…子悪魔、初等魔術教唆バイブルっていう本、取ってきてくれない?」 「はい、判りました探してきますね。 …この二人、かなりのバカップルになりそうです…」 私こと子悪魔は、思わず白い目で二人を見てしまいました。 それに魔術教唆バイブルって…何だかんだ言って魔術を教える気はあるんですね。 きっと本人に聞いたら、「教えることも知識の確認になる」って反論するでしょうけど。 パチュリー様、私と言うものがありながら…ムキーッ! とはなりませんが、余りイチャイチャの頻度が増すとこちらも色々と、種族としての業を抑えるのが大変になりそうです。 その時はお二人に協力して貰いましょう。 「あ、わき腹のお肉はぷにぷにしてる。鍛えにくいもんねここ」 「…っ!」 もやしな声が響き渡りって降りますが、今日も紅魔館は平和です。 パチュリー分補充 蕪雑な文だなぁ…精進しなければ… ある日のもやし達(Megalith 2011/10/27) ――紅魔館は今日も平和だ。 基本的にここの住人はお嬢が動かない限り大人しいので、事件の起こりようも無いのだが…。 殊にこの場所、紅魔館地下図書館に於いてはページを手繰る音くらいしか聞こえない。 その音さえ圧倒的な面積と、聳え立つ本棚の林に遮られ意識しないと聞こえない程度だ。 さて、今日も今日とて俺とパチュリーは地下図書館で穏やかな時を過ごしていた。 パチュリーは外界から流れてきたという薄っぺらい本のページを無表情に手繰っている。 一体どこから仕入れてきたのか、近くには似たような形状の本が大量に詰まれていた。 一方の俺はというと、学んだ錬金術の知識をノートにまとめていた。 骨折事件の折に魔術を教えてもらうという流れにはなっていたのだが、俺の魔力に難があることが発覚し紆余曲折の末に錬金術を学んでいくことにしよう、という方向性に定まったのだ。 パチュリー曰く、魔力が無いというのは若干異なり、正確には全ての属性に対して致命的なまでに相性が悪い。ということらしい。 属性を乗せずに魔法を使うということも一応は可能(例:ノンディレクショナルレーザー)だが、属性変換による効率化を行えない為頗る燃費が悪く、ごく普通の人間である俺が扱うには荷が重いらしい。 それでも魔力があるだけ、多少はマシなのかもしれない。 だが、相性が悪いということはこちらが属性魔法を受ける時、常人以上にダメージを貰う羽目になるということでもある。 この話を聞いて魔法攻撃に弱い上に敏捷が少ないグラスランナーとお嬢に揶揄された時は軽く泣きそうになった。 もし俺がキャラクターポイント制で作られているならば、この特長だけで軽く20ポイントは貰えるだろう。 加えて俺は虚弱体質のマイナス特徴も持っている。そう考えるとかなりのCPを得ているはずなのだが…一体どこにポイントを裂いているのだろうか。 …やっぱ容姿端麗と博学、後は…。 「変態、もやし、ヘタレ、フェミニスト、ロリコン、後は自意識過剰辺りかしら…あら、全部不利な特徴ね」 「人の心を読まんでください…」 「口に出てたわよ。 真面目に答えると背景幻想入りで130点くらい使ってるんじゃない?」 「…然もありなん。基本CP80点、不利な特徴で合計150点くらいになって、幻想入りで130点消費か…。 残り20点の行方が気になるところだ」 …さて、錬金術自体はパチュリーや魔法使いの森に店を構える雑貨屋の主にも教えて貰うこともできたのだが、基本的には独学で行うことにしている。 初めはパチュリーに教えてもらったのだが、如何せん喘息持ちの彼女が長時間喋り続けるというのは相当な負担になるらしい。しまいには声が掠れ初めてしまってそれ以降は遠慮している。 後者はというと、外界の道具について延々解説させられるというよく判らない展開に陥り軽くトラウマになってしまった。 いくら外界の日用品といっても、道具そのものの仕組みなんて答えられないってばよ…。 何とか初心者用の本を見積もってもらったり、ある程度の知識くらいは教授して頂いたが…とにかくしんどかった…。 正直もう行きたくない。 「ふぅ…」 今までに得た知識とアイデア、錬金レシピなんかを纏めたノートを一旦閉じ、近くにストックしておいた錬金術関連の書籍から一冊抜き出してからパチュリーの後ろに座る。 本を固定したままノートを執るという行為は、背表紙に深刻なダメージを与えるから止めるように、と言われていたので書くときは書く、読むときは読むと作業を分けているのだ。 「………なんで態々そこに座るのよ」 「ん?」 どうやら、両足でパチュリーを挟み込むような格好で座ったのが気になったらしい。 正直こちらも突っ込み待ちだったのだが。 「肌寒いし人肌恋しい季節なのですよ」 彼女ははぁ、と溜息を吐くと「まぁ、いつものことね…」と呟いて再び読書を再開してしまった。 こういうちょっとしたボディコミュニケーションには慣れてきてしまったのだろうか、最近反応が薄くて寂しい限りである。 とは言え、本を読んでいる最中だと真面に相手をして貰えないだろうし今は自分の作業を進めることにするか…。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 二時間後、ようやく一段落がついたので休憩に入ることにした。 如何に初等とは言え学術書に変わりはないので独学だとワンセクション進むだけでも結構手間がかかるものだ。 元々勉強できたわけでもないしな…。 目の前のパチュリーに目を向けると彼女の方はあの本の山を読破してしまいそうな様子だった。一冊一冊が薄い所為で読むペースがやたらと早い。 2時間も保っているのは単にその量が尋常では無かったからだろう。 …ていうかこれ、同人誌だよなぁ。 気に入ったものがあったのか、既読書のスペースとは別に分けておいてあるものもある。 幸いなことに18禁のものはないようだが…、いや、寧ろそっちの方がいい反応が見れそうだな。 今度こっそりと混ぜておこう。 等と考えているうちに次の本へと手を伸ばすパチュリー。 彼女は読書の邪魔をされるとちょっと不機嫌になってしまうので、何かを仕掛けるのならば今この一瞬を置いて他にはないだろう。 …タイミングを逃したところで5分も掛からずに読み終わるんだろうけど…。 兎角、即断即決、0コンマ数秒で行動に移すことにした。 後ろから抱きかかえるように腹部へと手を回し、そのままころん、と後方へと倒れこむ。 「ぴゃ!?」 不意打ちを食らったパチュリーが小さく悲鳴を上げてコロンと転がる。俺の腹の上にパチュリーが乗っかっている姿勢だ。 「ちょぉっ!? 何よいきなり!?」 「休憩がてら地獄のゆりかごでもしようかと」 「意味が分からないわ。あぁぁ、揺れないでー。これ地味に怖い!」 「意味などない! 一度この体勢に入ってしまえば後は成すが儘というこの技の恐ろしさ、とくと味わうがよい!」 「むきゃ~」 数分程じゃれあっただろうか。俺たちは体力が切れてそのまま図書館の床に仰向けで倒れていた。 「…流石に、疲れた…」 先の技は意外にも体力の消耗が激しい。腹筋も背筋も、二の腕や脹脛の筋肉もかなり酷使するのだ。 …俺の体力が無いだけという突っ込みは無しということで。 「…疲れるなら、やらなければ、いいのに…」 パチュリーが切れ切れに呟く。 因みに体勢は地獄のゆりかごをしていた時と変わらない。つまり仰向けになった俺の上に仰向けのパチュリーが乗っている状態だ。 バランスが悪いと言っていた割にその場所から動かないのは動く元気すらないからだろう。 「貴方はいつも突飛過ぎるわ…」 少しして体力が少し回復したのか、体を起こしてそのまま床に座り込んだ彼女が言う。 一人で寝転がってるのは少々、いや結構寂しいので俺も体を起こすことにする。 「んしょっと。まぁ、気になる娘にはちょっかい掛けたくなるものなんだよ」 「――っ! ………子供じゃないんだから」 あさっての方へと顔を背けるパチュリー。頬がほんのりと紅潮している。 おぉ、これは…! 「かかかか可愛い反応しやがってぇっ!」 カサカサと近づいてハグをする。 そうか、これが、萌えという感情か。 「…今の動き相当キモかったわよ…」 拒否こそしなかったものの、かなりげんなりとした様子。 確かに、今の動きを俯瞰視点から想像したら相当気持ち悪いな…。 バ○オハザー○の○ッカー並かもしれない。 「で、やっぱり後ろに行くのね」 「ん? おぉ、ほんとだ」 気が付くと俺はパチュリーの後ろに回り込んで後ろからハグをしていた。 そういえば、彼女にくっつく時は大抵後ろからだなぁ。 大抵、というか、ほぼ毎回、というか、毎回。 「んー、こっちのが落ち着くっぽいなぁ。髪の毛もふもふ」 「ひぁ…ちょっ、息がくすぐったい…」 「パチュリーちっちゃいなぁ」 「貴方だって中国より15㎝は小さいでしょう」 「…割とコンプレックスなんで僕の身長のことは言わんでください…」 なんて、二人でイチャイチャバカップルごっこしていると、 「邪魔するぜー………邪魔したぜー」 不定期にやって来ては本を持っていく白黒が現れた。 「霧雨さん、折角のイチャイチャタイムを邪魔しないでください…」 「別にイチャイチャしてた訳じゃないと思うけど…」 「………十分すぎる程イチャついてたと思うが私は何も見ていないぜ。 こっちの用事を済ませたらすぐ帰るから気にしないで続けてていいぜー」 と言って、魔理沙は床にストックされていた本を物色し始めた。 「ぁー、その辺りに出てるのは現在進行形で使ってる本だからまた今度にしてくれないか?」 「今度も何も、ここの本はいつも通り全部禁帯出よ」 「だろうな、それじゃあいつも通り力づくで借りていくことにするぜ」 と、懐から小型八卦炉を取り出す魔理沙。 「望むところよ。今日は…色々あって疲れてるけど…調子自体はいいわ」 パチュリーもスペルカードを取り出し、応戦する姿勢を見せる。 「弾幕かー…いつも通り俺にできることは何もないな…」 自慢じゃないが俺は弾幕を出すことも、空を飛ぶこともできない。 だからいつでも安全圏に移動できるように準備しておくことにした。 「後ろにハンデが居るからって手加減はなしだ、ぜ!」 言うや否や大量の、まさしく弾幕を放つ魔理沙。 幸いなことに今のは牽制だったようで、動かずとも被弾することはなかった。決して反応出来なかった訳ではない。 チチチチ…と大量のかすり点が加算されていく。 …ところでハンデって俺のことか? 事実だから仕方ないと言えば仕方ないのだが、他人に言われるとちょっと虚しい。 早いとこ実践レベルの錬金術でもできればなぁ…。自衛くらいは出来るようにならないと。 というかよくよく考えたら俺が存在することでパチュリーが不利になることは余りないような気もする。 …まぁいいや、さっさと避難してしまおう…。 「生憎だけど、本が賭かってるからハンデはあげられないわ」 「…あのあのパチュリーさん? こっちに手が向いてますよ…?」 パチュリーの左手には既にチャージ完了とばかりに魔力の塊 ――色からしておそらく水属性だろう―― が渦巻いていた。 「貴方弾幕ルール設定してたわよね。足手まといになる前にぴちゅってて頂戴」 「いやそれ酷くね? "ごっこ"とは言ってもぴちゅったら結構痛いというかせめて無属性でお願―」 ぴちゅーん! ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ―― その夜、魔理沙との弾幕戦を終えて疲れ果てた私は寝室に戻ってきた。 今日は無駄に体力を消費しすぎた。完全にオーバーワークだ。 さっきはシャワールームで寝掛けてしまって溺死しそうになるし…。 「………?」 何か違和感を感じる。 暫く周辺を見まわして…あぁ。 いつもはメイドたちがきっちりベッドメイクをしている筈なのに、妙にシーツが崩れている。 オマケによく見ると中央が人型に盛り上がっていたりする。 …全く、昼間ぴちゅってから姿を見ないと思ったら…。 「………」 無言で本棚に刺さっていた大技林2011とコミケカタログ、ついでに美術図鑑を落としてやる。 「あ゛、あだ!ぐぁっ…!」 次いで布団を捲り上げる。 「…何をしてるのかしら?」 「…本は、大切、に…」 「何をしているのかしら?」 「………お、お布団を温めておりました」 人が愛用している枕に顔を埋めて小さく呟く彼。 彼じゃなければ間違いなく私刑に処していただろう。 「100歩譲ってそういうことにして、どうして私の寝室に貴方がいるのかしら」 「いやー、ぴちゅってから暇だったもので…」 「態々ピッキングまでして侵入したと」 「ぁーいやそれは…口で説明するのが面倒だから取り合えず俺をぴちゅってくれないか」 「………M?」 「いや別にそういう訳ではな―」 彼の弁明が終わるのを待たずにノーマル弾を打ち出す。 やる気の無い弾が、やる気の無い速度で、やる気の無いヘロヘロとした軌道を描く。 相当疲れてるなぁ、私。 ぴちゅーん! 誰が制定したのか判らないが、弾幕ごっこでは一定の被弾をした後、自宅の設定ポイントないしは最寄の復活ポイントに強制移動させられる。 妹様がコンティニュー云々言っていたのもこのシステムに則ってのことだ。スペルカードにしてもごっこ遊びを飾るエッセンスに過ぎなかったりする。 まぁ、妹様に限ってはそのルール自体を破壊してしまうことが出来るから半ば隔離されていたわけだが…。 被弾した瞬間彼の姿が掻き消え…、 仰向けの状態でベッドに再出現した。 「…とまぁ、こういう訳なのですよ」 鳩尾の部分を擦りながら彼は言う。 そういえば属性耐性がマイナス入ってるから常人以上に痛みを感じるんだっけ。 「…って、何でそこを登録してるのよ。…というか何時登録したのよ…」 「秘密。ところで俺が言うのもあれだけど、すごく疲れてる?」 「…うん、もう寝るわ…」 何が秘密か、とか、半分以上お前の所為だろうとか、色々突っ込みたかったがもう体力の限界が迫っている。 ベッドが視界に入ってから意識が切り替わってしまったらしく、瞼が重くて仕方がない。体が横になりたがっている。 彼の隣の空いているスペースで横になり、そそくさと毛布の中へ潜り込む。 あぁ、確かにこの時期布団が温まっているのは良いものだ。 Ⅱの字と言えばいいのだろうか、二人で並んで寝転がる。彼は仰向けで、私はうつ伏せ。 シングルサイズのベッドである為多少狭いが、彼も私も小柄なので寝るスペースは十分にある。問題はないだろう。 兎に角、今は余り難しいことを考えたくない。 「おや…あれ?」 困惑した声。隣を見ると彼が眉間にしわを寄せていた。多分、「んー、どうしよっかなぁ」程度のレベルで考え込んでいるのだろう。 「枕、返して」 「あぁ、はい」 取り敢えず愛用の枕を奪取。やはり慣れ親しんだ枕がないと眠れない。 ボフッと顔を埋める。疲労がすうっと和らぐ感覚。それと反比例して睡魔が雪崩のように押し寄せて意識を埋め尽くしていく。 「………他人の匂いがする枕って落ち着かあいわ…。 あ、もう電気消すけろ部屋に戻ぅ?」 ダメだ、呂律が回らない。 「まるで一緒に寝ていいかのような口ぶりだけど」 「…別に、何もしあければ…」 「…それは…生殺し…」 「嫌なら自分の部屋に戻―」 「お邪魔させて頂きます!」 ………。 3秒ほどの沈黙。 「…何故そこで沈黙するのか」 「………電気消すわよ」 パチリと魔力灯を落とすと、補助灯の明るさのみが残る。 手元で調整できるように配置しておいて本当に良かった。今更起き上がるのは相当キツイ。 「それじゃあ、おあふみなはい」 「うぃ、お休み…あ、そうだ」 薄暗くなったベッドで彼が言う。 「…?」 「おやすみのチュー」 …無言で睨みつける。あぁ、瞼を開くのがこんなにも重労働だったなんて思いもしなかった。 「パチュリーさん半分寝てるね…何か女の子がしちゃいけない表情になってるよ…。せめてハグさせてください」 「…いつもしてるでしょ…」 「うん」 ぎゅっと寄り添ってくる彼。 布団が温まってなければ湯たんぽ替わりになったのだろうけど、残念ながらちょっと暑い。 瞼を閉じると体の感覚が遠のいていく。 「パチュリー、暑い?」 「…ん…だいじょぶ…」 ちら、と少しだけ目を開けると彼と目があった。意外と近い。 彼がつ、と視線を外す。 「…ヘタレ…」 「…視線合わせるの苦手なんだよ…」 「………」 「…ん、寝ちゃった?…おやすみ…」 彼が目を閉じたのを薄目で確認してから、不意打ちで軽く唇を重ねる。 僅か1秒にも満たない控えめなキス。 「―っ!?」 「…偶には…こっちから…仕返し…」 隣で悶々としている彼を尻目に、私の意識は夢の中へと落ちていった。 (………おやすみのチューとは果して本当に"おやすみする前のキス"なのだろうか。 いや、語感からすれば"おやすみしている間のキス"と捕らえたほうが自然ではないだろうか? ならばパチュリーは今それを許可してくれた訳でいやいやだからと言ってもし起こしてしまったら悪い。 しかしこの状況は非常に拙いな。どのくらい拙いかと言うとこの前お嬢に飲まされた自分の血が入った紅茶以上に不味い。 煩悩と闘って悟りを開くとかマジ無理ゲー。煩悩のレベル108くらいあるだろ。 ブッダさんマジ仏。俺とか外道ヤクザより弱いし魔王マーラ様の誘惑に勝てる気がしねぇ………) ボクは必死に情欲と戦って、結局寝付けませんでした…。 翌朝、パチュリーが人の顔を見るなりすごい勢いで枕に頭突きをしていました まる。 文法など知らぬ! 語彙など無い! それでも、俺の頭の中で書けと囁く奴がいるんだ! それにしても○○がどんどんキモくなっていくなぁ。 この○○で書くときはこのタイトルで統一したく思います。
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パチュリー11 10スレ目 300 ※※※幽香長編「桜花之恋塚」と10スレ目 286のコラボ 「結婚おめでとうございます」 「大変なのはこれからだがな――ありがとう」 図書館の外れ、物置同然の部屋で、カップを鳴らす音が響く。 部屋には、乱雑に置かれた雑誌類、古ぼけたテーブルと草臥れた椅子、 そしてそこに座り、カップの中身を消費する二人の人影がある。 あたりに漂う香りは珈琲。 昼間から酒を飲む趣味は、この二人には無いらしい。 「しかし――お前が自分からご足労とはね――『留年皇』」 人影の片方――作業着と思しき革のツナギ姿の小柄な青年が、黒い霧を吹いた。 もう一方、着崩した司書服の男は「ぅわ汚な」と、トレーでそれを回避。自分と周囲の本を守った。 「その名で呼ばんといてくださいorz」 「はっはっは」 お互いの存在を知ったのは、互いの伴侶の邂逅と時を同じくする。 とはいえ、何か大事があったわけではない。 『留年皇』の伴侶は、この館の庭の花園と、上質の紅茶を目当てに、時折ここを訪れる。 その折に、館の主は勿論、七曜の魔女と会うこともある。 ならば、その傍らに連れ添う者同士に縁があるのも無理は無い、というだけの事。 ごほごほと咽ていた青年が、それは置いといて、と話題を変える。 「まあ、困った事があったら、何でも言ってください。 人外付き合いも、結婚生活も、こちらの方が先達なので」 「あー、その事なんだが、な」 早速、相談がある――。 そんな色がありありと現れた表情で、司書の男はしかし、言い淀んでしまう。 作業着姿の、まるで用務員のような青年は、それを茶化す事も急かす事もせず、ただカップの中身を継ぎ足し、言葉を待つ。 ややあって、言葉を選びながら、重々しく沈黙が解かれた。 「うちの奥さんさあ――嫉妬深いんだよ」 「まあ良くある話です。でもどんな風に?」 努めて軽く、しかし真剣に。 聞き上手の手本のような仕草で、意見を聞き出して行く。 「特にきついのが、視線の置き方でな? ほら、黒いのとか人形師とか、色々客が来るだろ?」 成る程、と思案げに目線を天井へ向ける用務員。 「あの人たちも可愛いですからね」 「ああ。パチュリーが一番愛らしいがな」 「でも、パチュリーさんは、その気持ちを汲んでくれない、と」 話が早い。と諸手を上げ、司書は「降参」のジェスチャーを示した。 「元を辿れば、騒動の一因だからな。 そこが可愛い所でもあるんだが――あんま頻繁だと、お互いに宜しくない。 ――単刀直入に言うが、良い知恵は無いか?」 上手く、場の空気を和らげられれば良い。 とは言っても、普段が比翼連理を地で行く間柄である。 どちらかが折れる、譲るというのは、互いの性分に合わない。 「――ふむ」 ひとつ、思い付きました、と。 作業着のポケットの一つから、何かを差し出す用務員。 「……グラサン?」 「ミラーシェイド、っていうとお洒落ですよ?」 縁が無く、蔓は鍵型ではなく棒状で、ただ骨格に適度な弾力でフィットし、保持されるタイプの色眼鏡。 職業柄、日向の苛烈な日差しから目を守る目的で、掛けているのだという。 司書は訝しげながらも手に取り、それで、と先を促す。 「目線を隠せます」 「あー?そりゃ尚の事失礼だと思うんだが」 だからですね、と。 用務員は、ある台詞を呟いた。 「……そりゃ、用法が違わないか?」 「いえ、だから、ちょっと捻った使い方を」 そうやって、青年のレクチャーは続いた。 最初は不審げだった司書の顔も、徐々に合点が言ったのか、頷きが深くなっていった。 「いやー、あのフラワーマスターを口説き落としただけはある」 「雑学が多いだけですよ」 「まあ確かにそんなに趣味人じゃあ、留年もするわな」 「……一言余計ですorz」 ――そして、実践編と相成る。 先制から、司書の奇行は極まっていた。 「あ、あのー○○さん?」 「何だ?」 「し、室内でサングラスを何故?」 「ミラーシェイドだ――格好良いだろう?」 薄暗い室内で、必要も無いのに色眼鏡を掛ける男。 幸か不幸か、精悍な顔立ちに、その鋭角なワンポイントは、意外なほど似合っていた。 だが、そんな彼の姿に、終始不機嫌な者が一名。 「目悪くなるぜー?」 「お気遣い有難う、魔理沙――おや、リボンの色を変えたのかい?お洒落だね」 「……お前、やっぱそれ外せよ」 黒白に楽しそうに世辞を吐き。 「アリスこんにちは。えーっと、今日連れているのは――上海?」 「違うわ」 「じゃあ蓬莱」 「オルレアンなんだけど」 アリスと漫才をしてみたりするが。 「……」 「ぱ、パチェ、目が怖いわ」 「あらレミィ、大丈夫よ?私は絶好調。 ――今なら、ロイヤルフレア詠唱破棄出来そうな程度には」 よりにもよって、今日一日。 パチュリーの方は、一度も向いていないのだ。 魔女の機嫌は、見る見るうちに悪くなり―― べきり、と。 鈍い音を立てて、魔道書の鉄と革の装丁に、その細い指が突き立ち。 それを見たレミリアが、全速力で図書館から逃げ出した。 「どういうつもりよ!?」 「何を?」 「な――それを私に言わせる気!?」 「まあ怒鳴るなパチュリー、目が血走っているぞ」 「貴方のサングラスが赤いのよ!?」 「ミラーシェイドだ」 「どっちでも良いわよッ!!」 案の定、その日の暮れに、とうとう爆発。 夫婦喧嘩の時間と相成った。 ただこの光景もまた、いつもとは違っていた。 一方的に捲くし立てるパチュリーに対し、彼は反論するでもなく、ただ曖昧に応答するのみ。 口論というよりは、一方的な小言であった。 「……聞いているの?」 その態度に、息を整えて、しかし声のトーンを落として睨み付けるパチュリー。 もはや険悪な空気が渦巻いて見えるような状況で―― 「聞いてない」 「――え?」 男が、意外な一言を放った。 男は漸くミラーシェイドを外し、目頭を揉みながら、あのな、と続ける。 「――『眼鏡の下は、別の女性を物色中』って台詞、知ってるか」 「……ええ、身分を偽る影武者の女王に対して、側近の男が吐いた台詞ね」 『眼鏡の上からは、仕えるべき人として。眼鏡の下では、愛しき女として』。 そんな意味の込められた、この上なく芝居がかった台詞。 「って説明に――」 「違う。俺の場合は、そんなに捻った使い方はしてない」 訝しがるパチュリーの目の前で、「あー目が痛え」と呟いた彼の瞼が、漸く開き、 真剣そのものの視線が、パチュリーの瞳を射抜く。 それまでの態度から一転した彼の様子に、先程までの剣幕は何処へやら、 パチュリーの瞳は、戸惑いと、一抹の不安さえ見せていた。 それを、静かに見つめて、さて、と一息。 「じゃ、パチュリーはずーっと俺を見ていたわけだ?」 「……ええ、見ていたわ」 「なら答えられるな――問題です」 その一言と共に。 「!?」 彼が一息に踏み込み、パチュリーに詰め寄る。 背後の本棚に両手を置き、彼女の左右を塞ぐ様に詰め寄った。 互いの吐息を、鼻先に感じるほどの、至近距離。 あまりの強引且つ脈絡無いその展開に、魔女はとうとう怯えの色さえ見せ始めた。 しかし、彼はその強引な態度と裏腹に―― 「今日一日、俺がパチュリーの顔を、どんだけ向いていたっけ?」 努めて、優しい声で、呟いた。 「……」 何を言われたのか、解らない。 そんなパチュリーの表情が、数秒ほど続き―― 「!!」 一転。 普段血色の悪いその容貌が、紅一色に染め上げられる。 そう。 彼は一度も、パチュリーを見ていないのだ――眼鏡の上からは。 「……以上、説明終わり」 その姿に、してやったりな笑みを浮かべる。 あんだすたんど?と回答を求める彼に、蕩けた表情のまま、彼女は辛うじて頷いて見せた。 「さて、じゃ――埋め合わせだ」 その彼女との距離が、零になる。 「ん――!?」 あまりに唐突で、強引なキス。 パチュリーの目が一瞬、驚きに見開く。 「――」 だが、彼は止めない。 優しく、だが硬く彼女の身を抱き寄せ、その唇を音を立てて味わう。 「――ん――む――」 彼女もまた、身体の力を徐々に抜き、彼の背に手を置き、身を預けていった。 「――は」 彼女の無呼吸記録を軽く塗り替える時間を置いて、二人の唇が離れる。 恍惚に震える彼女は、残滓を取り払うのももどかしく、 「……○○……○○……」 熱に浮かされた声で、愛しい人の名前を呼ぶ。 「……二人っきりの時は」 その声に答えるように、彼は、想いの丈を言葉に乗せた。 ――ずっと、君だけを見ているから。 彼女は、涙さえ流して、彼の瞳を見つめ返し―― 「見るだけじゃ……嫌」 自分より背の高い彼を、抱き寄せる。 彼の身体は、軽いはずの彼女の重みに負けて、次第に下がり―― 「――確かめて。確かめさせて」 かしゃん、と。 彼が手に持っていた色眼鏡の落ちる音がして。 ランプに照らされた、二人の影が、重なった――。 「おう留年皇!やったぞ!」 「それはそれは――って留年皇言うな!?」 「しっかし、よく思いつくな!?あんな臭い言い回し」 「あー、あのですね」 「ん?」 「実は、試したんですよ」 「あの、花のお嬢さんにか」 「結果、どうなったと思います?」 「さあ?」 ――色眼鏡で私を見るたあ良い度胸ね!! ――え?いや、これは色々と事情gあー O)))) _/L 「見事に首が飛びましたよ。 問答無用、前座の仕込みも出来ませんでした。 いやー、見事に残機、減りましたねぇ」 ←※現在、蓬莱人 「そ ん な も ん を 俺 に 勧 め た の か ッ !!?」 「まあ貴方ですから。 ほら、本読んでいるから、語彙とハッタリでどうにでも――あ、待ってください、椅子はヤバイd」 「そ の 首 貰 い 受 け る ッ」 (豪快に何かが飛び散る音がしました) ─────────────────────────────────────────────────────────── 7スレ目865 〇〇「いきなりだが魔法を教えてほしい」 パチュ「本当にいきなりね」 〇〇「頼む!」 パチュ「却下」 〇〇「うう。……いいよ、アリスに頼むから」 パチュ「―― 待ちなさい」 〇〇「なに?」 パチュ「魔法は明日から教えてあげる。だから、アリスの所には行かないで」 〇〇「ん、わかった。今日はパチェで遊んでる」 パチェ「……好きなだけ遊びなさい」 どうやって遊ぶのかは内緒 というか思い付かぬ ─────────────────────────────────────────────────────────── 7スレ目868 「…で、パチェで遊ぶと決めたわけだが! ……何しようか」 「その前に、『で』じゃなくて『と』でしょ」 「んにゃ、『で』が正しい」 「妖しい響きね……。それで、具体的には?」 「とりあえず乳繰り合おうか」(ワキワキ) 「え……何その手!? ちょっ、待って、心の準備が……」(後ずさり) 「問答無用っ!」(こちょこちょ) 「ぁ……ダメっ・・・…そんなとこ…触られたらっ…!」(頬を染め) 「へっへっへ、可愛い声出すじゃねぇか嬢ちゃんよ」(興奮してきたお) 「んっ! だめ……だって、ふぁ……」(口が半開きになって) 「へっへっへ、観念しなっ」(やめられないお) 「ふぁ…………ふぁ……………………ふああああああっくしょん!」 「……………………パチェ」 「ななななに!? ○○が悪いのよ! あんなとこ触るから!」 「だからってくしゃみは無いと思うぞ」 「うるさいわね! とにかく、謝りなさい!」 「何で俺が…………」 「うるさいうるさいうるさい! あやまれ~~~~!」(じたばた) 「はいはい、すみませんでした」 「むきゅ~~!! 誠意が感じられないっ、もう一回!」(じたばた!) 「…………(なんでツンデレ仕様なんだ)」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 7スレ目871 〇〇「……仕方ないなぁ」 ぎゅっ パチェ「ひゃっ!いきなりなによ」 〇〇「ごめんね、パチェ。ちょっと調子に乗りすぎたよ」 パチェ「わ、分かればいいのよ」 〇〇「ありがとう」 パチェ「何で礼を言うの」 〇〇「? パチェが許してくれたからだよ」 パチェ「そう」 〇〇「さて、改めてパチェで遊ぼ「却下」えー」 パチェ「『と』ならいいけど『で』はダメ」 〇〇「そっか。……たまには無理矢理もいいよね?」 パチェ「無理矢理って―― ちょっと、本を取らないで」 〇〇「駄目。今日はパチェには抱き枕になってもらうから」 小悪魔(熱いなぁ) ─────────────────────────────────────────────────────────── 7スレ目962 ○「パチュリー」 パ「…………」 ○「ぱっちゅさーん」 パ「…………」 ○「パチェー」 パ「…………」 ○「紫もやしー」 パ「…………」 ○「……反応無しですか」 スゥーーーーーー ○「パチュリーーーーーーーーー!!!」 パ「不下うwさmさえふぃh&7dふぇえw8!!??」 ○「ああ、やっと気づいたか」 パ「ま、○○?なによいきなり大声出して」 ○「何って何度呼んでもパチュリーが返事をしないから大声出して呼んだだけだ」 パ「……悪かったわよ」 ○「で、なに読んでるんだ?」 パ「○○には関係ないことよ」 ○「ふ、お前のことで俺に関係ないことなんて一つもないんだよ」 パ「…………馬鹿」 ○「と、言うわけでパチュリーが読んでる本GET」 パ「あ……」 ○「結婚雑誌?」 パ「な、なによ悪い?」 ○「いや悪いなんてことはないけど……パチュリーって結構結婚願望あるんだなーって思ってさ」 パ「べ、別に結婚願望があるわけじゃないわ、ただ……」 ○「ただ?」 パ「ま、○○と結婚したいと思っただけよ////」 ○「うおぉーーーーーー!!パチェーーー!!好きだーーー!結婚しよーーー!!」 だきっ! パ「むきゅー!?」 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ547 「……ふぅ」 手が届かない。どうしたものか。 目当ての書籍を前にして、悩んでいると 影が私を覆った。 「はい、どうぞ。パチュリー様」 「あ、ありがとう、○○」 (いつのまに後ろに……?) 「そこの本棚に用事があったのですよ。苦戦しているパチュリー様が見えましたので、そのついでです」 尋ねてもいないのに答えが返ってくる。 (顔に出ていたのかしら……それよりも) "苦戦している"、ということはとどのつまり。 ジャンプやら背伸びまでして取ろうとしていた姿を (見られてた――!?) 最初から見ていたのならすぐに手伝いなさい、と叫ぼうと後ろを振り向いた時には既に遅く。 彼は遠い本棚の隙間へと消えていた。 彼が、どうして此処へ来たのか、私は知らない。 この館の主である吸血鬼のレミリアにどういうわけかいたく気に入られ、 身の回りの世話はメイド長がしているということで図書館の司書に、ということだった。 人間にしては細かい所まで目が行き、司書としての働きは悪くない。 何しろ乱雑に並んでいるだけだったこの図書館の膨大な書籍を 彼は一月足らずで分類別、かつアルファベット順に並び替えるという所業をやってのけたのだ。 それは知識を得ることが容易になったということでもあり 私にとっては、とてもありがたいことでもあった。 司書として優秀なのは上述した通り、なのだが 彼は一切の素性を伏せている。 「別にいいじゃないですか、そんな事」 といって、何度尋ねても笑って誤魔化す。 そもそも、レミリアに何の段取りもなく謁見したということは、あの門番を倒してきたということで。 (……ただの人間に、役立たずとはいえあの門番が倒せるのかしら) 只者ではないということは確かである。 「よし……と」 今日の仕事も滞り無く終わった。 魔理沙という魔法使いの少女が、「読み終わったから返すぜ」と 3ケタになろうかという本を持ち寄った時にはさすがに面食らったけれど。 いつものようにパチュリー様は本を読み耽っている。 本当に知識欲が旺盛な方だ。 件の本の山もようやく棚に戻し終え、帰りに苦戦するパチュリー様を手伝い、今に至る。 「さて、やることが無くなりましたね……どうしましょうか」 家事に関しては一般人程度にはできるものの、この館のメイド長には遠く及ばない。 手伝おうかとも思ったけれど、また「私の仕事までやらなくてもいいのよ」とやんわり拒絶されそうだ。 (お茶を淹れるくらいなら問題は無いでしょう……さて、キッチンはどこでしたっけ) 廊下を歩いているメイド(妖精)の誰かに尋ねれば分かるかな。 パチュリーの反応楽しみにしつつ、鼻歌交じりで廊下へ続くドアを開けた。 「あら、○○。仕事はどうしたの?」 廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。 「おや、咲夜様。本日の仕事でしたら、全て滞り無く終わりましたよ」 「途中で魔理沙が本を返しに来たはずだけど、それも含めて?」 「ええ、勿論」 「まだ夕刻には程遠いのに……凄いわね」 感心するように溜息をつく咲夜様。 「それ程の事でもございませんよ。図書館という、小さな空間での事ですから……それよりも、昨夜様?」 貴方に言いつけてある仕事の量なら、夜までかかるはずなのだけれど、と呟いていたメイド長に、尋ねる。 「あ、ええ……何かしら?」 「キッチンは、どこでしょうか?」 「さて、こんなものでしょうか」 咲夜にキッチンの場所、ポット、茶葉、ティーカップの在処を尋ねた後、別れてからキッチンに辿り着くまでおよそ15分。 (想像以上に広いですねぇ、この館は……) 妖怪の類や、人間のハズなのに飛べるメイド長からしたら短いのかも知れないけど、徒歩ではいささかキツい。 「保温ポットが確かここに……ああ、ありました」 時間を考えると淹れてからそのまま図書館に戻るようでは冷めてしまう。 淹れたお茶を保温ポットに移しなおし、腕に抱えて歩き出す。 (喜んでくれるといいのですが) 「パチュリー様? ああ、そちらにいらしたんですね」 「○○? どうしたの?」 「いえ、喉が渇いたかと思いまして。お茶をお持ち致しました」 壁の時計を見やる。丁度アフタヌーンティーくらいには丁度いい。 要不要の声も聞かずにポットからカップへお茶を注ぐ○○。 ただし、そのお茶は暗がりで見てもやや青い。 「……何ソレ、毒?」 今まで見たことがない色のお茶であったため、少々警戒を抱く。 「まさか、とんでもない。私も飲むのに毒を入れるわけが無いじゃないですか」 そうして淡々と二つのカップにお茶(?)を淹れ終わり、私に一つ差し出す。 「では、ご賞味くださいませ」 「本日のお茶はマロウブルーティーです。ちょっとしたハーブティーですよ」 喘息持ちの彼女の為に、直接的ではないが、喉へ良いと書かれていたお茶を差し出す。 まさか茶葉の棚にハーブティーまであるとは予想もしていなかった。 普通の紅茶を淹れようと思っていたのだが、目的のハーブを見つけたのでそれを淹れることにした。 「効果は?」 「さて。"知識"の名を冠す貴女なのだからもうご存知だと思っていたのですが」 「もったいぶらずに教えなさいよ」 「万病の予防になると言われています。喉や声に特によく効くのだとか」 素っ気無く言い、そのまま自分の分に口をつける。うん、苦い。 彼女の分には砂糖を一応つけておいたのだが、自分のを用意するのを忘れるとは……不覚。 「それなりに苦いですから、砂糖をつけることをオススメしますよ」 ちょっと顔をしかめつつ、笑顔で忠告をくれる○○。 なんでこうも気がよく回るのだろう。 なんでここまで優しいのだろう。 何故、色んなことを知っているのだろう。 私でも知らないことが、あるのに。 「パチュリー様?」 呆けてしまっていたらしい。私としたことが。 「え、ええ……わかったわ。ご忠告ありがとう」 「どういたしまして。残りはここに置いていきますね。保温ポットですからしばらくは持つはずです」 「貴方はどうするの?」 「明日の仕事になりそうな事をあらかじめ片付けておきます。 カップ等を下げたくなったらお呼び下さい。すぐに参ります」 それだけ言って自分のカップを手に踵を返す○○。 「ねえ、○○」 ふと、口から零れてしまった。 「どうかしましたか?」 「これからは、私のことは呼び捨てでいいわよ。何ならパチェ、でもいいわ」 彼の事が、もっと知りたい。 私の中の知識欲に、小さな火が灯る。 「しかし、貴女は私の主の御友人。そうそう無礼をはたらくわけには」 「良い、と言っているのよ。わからないなら命令よ、コレは」 「……承知致しました。パチュリー。…これでよろしいですか?」 「ええ。下がってもいいわ」 「御意に」 彼の姿が見えなくなってから、自分の顔を抑える。 (言っちゃった…言っちゃった…!) 今、顔はきっと火のように赤いのだろう。 でも、それはそれで良かったような気もする。 これから、少しずつ仲良くなればいいのだから。 少しずつ、知っていけばいいのだから。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 562 「あら○○、お茶の時間かしら」 「はいパチュリー様、レミリア様が呼ばれていますよ」 「ありがと・・・どう?紅魔館にはなれたかしら?」 「・・・まぁ、まぁと言った所です」 少し言いよどんで眼を背けた その様子からまだなじめないでいるのは解かる 「・・・人間と言うのは慣れるイキモノよ、人間だった貴方も例外ではないわ」 「そう・・・だといいんですが」 「慣れるわ、人間は人殺しすら慣れてしまうもの」 そう言って彼女は可笑しそうに笑った 俺を残して彼女はお茶を飲みに行った、俺はとんでもないところに来たと再認識した 「あら・・・何をやってるの?」 「あ、パチュリー様、少々散らかっていたので本の整理を・・・埃も溜まっていますよ、喘息にはよくありません」 「・・・あ、ありがと」 そのまま片づけを再開した、埃が立つので数冊の本を持って出て行ってもらった 「何か片付けが楽しくなってきた・・・」 「おいパチュリー!本を借りに来たぜ!」 ドアを乱暴に開け放ち白黒が登場した 「出たな白黒!この図書館は清掃中だ!貴様の好きにはさせん!!」 「おのれ○○!またしても私の邪魔をするか!」 なんとノリのいい魔法使いだ、絶対特撮見てやがる 「と、言うわけで清掃中だ、悪いが今日は帰れ」 「ああ、邪魔して悪かったな、仕事がんばれよー」 立った数分で退場、白黒の出番は基本的に少ないらしい ふいてはわいて、本を整理して、一段落したので開けている窓を閉めようと 「え?」 うっすらとだが空が白み始めている 「・・・徹夜か・・・パチュリー様怒ってるかな」 「怒ってないから安心しなさい」 「そっかーそれなら・・・!?パチュリー様!」 「おはよう○○、もう6時ぐらいかしらね」 図書館を見て回るパチュリー、それをびびりながら見る○○ 「綺麗になったわね・・・ありがとう○○この図書館も喜んでると思うわ」 「い、いえもったいないお言葉です、はい」 「ふふふ・・・いい子ね、使い魔にしたいぐらい・・・レミィ怒るかしら」 「そ、それは」 「その気になったらいつでも言いなさい、すぐに僕にしてあげるわ」 「は、はい考えておきます、それでは」 彼女の読書を邪魔すまいと思い図書館を去ろうとしたとき 「○○・・・本当に色々と、ありがとう」 今世紀最高(当社比)の笑顔をくれた、朝日をバックにした彼女の笑顔は最高だった 「眼がー眼がー!!灰にー」 日の光を浴びる莫迦な吸血鬼、色々台無し 終 ─────────────────────────────────────────────────────────── 9スレ目 269 あー、パチュリーに言われてお届け物だ。 中身はクッキーだったかな。 「本に書いてある通りに作ってみた。甘い方がいいだろうから砂糖は大目よ」 だとさ。横で作るの見てたんだが、一掴みくらい入れてたか、砂糖。 まあ、いいだろ? 恋は甘い方がいいに決まってる。お菓子だってそれさ。 受け取ってくれよ ─────────────────────────────────────────────────────────── 9スレ目 442-443 霧に煙る朝の湖。 こんな日くらい、湖岸の散歩を楽しんでも良いじゃないか。 そう自分に言い聞かせる。 単にパチェに貰った飛翔の呪符の更新を怠って、 他に手段が無いという切実な現実はあえて忘れよう。 借りている薄めの一冊の本の他、大した荷物もないし、 それにもう間もなく着くはずだ。彼女の住む館へ。 「あ、○○さん。おはようございます。珍しいですね、歩いてこられるなんて。」 「おはようございます。美鈴さん。朝から大変ですね。」 紅魔館の門番、紅美鈴さん。始めてきた時に、パチェが図書館を始めたという話を 聞いてなかったらしく、通す通さないで散々揉めたのを思い出す。 そういえば、図書館を始めたという話は誰に聞いたんだったか……。 解決しない思考を振り払って館に入ろうとすると、 「あ、ちょっと待ってください。」 呼び止められた。 近くに来て真面目な表情でじっと見つめられる。 「んー、やっぱりいよいよですか。頑張ってくださいね。」 にやり、と笑って門へと戻っていく。 良く解らない人だ。悪い人ではないのだが。 大図書館の大きな扉の前。そこで意外な人が待っていた。 紅魔館の主レミリア・スカーレット嬢、朝方とはいえ、 日が出てる間に活動してるのを見るのは稀だ。 「まったく、なんでこんな奴が……。」 小声でそう呟くのを聞いた時、突然思い出した。 パチェが図書館を始めたのを伝えにきたのはこの人だった。 そのときも「まったくなんでこんな奴が……」と呟き、そして手書きの チラシを1枚渡して帰って行ったんだ。 「あの……。」 なんと言おうか考えてるうちにレミリア嬢はふい、とそっぽを向いて霧になって消えた。 何が言いたかったんだろう。微かに苛立ちを覚えないではないが、相手が悪すぎる。 大図書館、いつもの場所でパチェは本を読んでいた。 とりあえず、本を返し、新しく一冊の本を借り、 本を読むパチェの隣で読み終わるのを待つ。 パタンと本を閉じ、次の本を取ろうとするパチェの手を掴み、 意を決し今日来た一番の目的を告げる。 「パチェ……。」 振り返るその顔を正面から見つめ、言う。 「パチェのことが好きだ。」 しかし、パチェはスッと目を細め、そして何事も無かったかのように 本を手に取り読み始める。 色々な反応を予想してはいたが、これはまったく予想外の展開だ。 「えっと……「それで。」 言いかけたのを遮ってパチェが言う。 「○○は、それでどうしたいの?」 本から顔を上げずに続ける。 「人が人に好きだというのは大きく分けて二つの意味があるわね。 一つは相手への揺さぶり。その発言によって相手に動揺をもたらし、 釣り橋効果で自分への好意を引き出そうとする利己的な物。 もう一つは宣言。自分は相手が好きだと宣言した以上、相手に対する行為は その宣言のもとに許されるという傲慢。いずれにしても美しい物ではないわ。 大体、あなたは人間、私は魔女。魔女の存在は人の隣にありながら常に妖怪を指向する。 けして交わる事の無い平行線。死する運命を持つ物に永遠は理解できない。」 早口で言い、そして更に続けようとするパチェを制して言う。 「解った。ごめん。」 それだけ言い残し、大図書館を去る。 深夜、パチュリーは紅魔館の主のもとを一人、訪れる。 「レミィ、私……。」 「それ以上言う必要は無いわ。」 夜の王は言い放つ。 「何が起きたのかも何を思っているのかもこれからどうなるのかも、 すべて知っているけど私の言うべき事は一つね。 貴女が思い感じたとおりに行動しなさい。運命は人の意思が作るべきもの。」 「うん…………。」 パチュリーの去った部屋でレミリアは一人呟く。 「まったく、なんで私が恋愛相談なんかに……。」 「嫉妬ですか?」 咲夜の声が答える。 「貴女、何時からそこに居たのよ。」 「最初から控えておりました。」 「まぁいいわ。それにしても私なんて500年も生きているのに、 パチェはまだ100年かそこらのひよっ子じゃない。なんか悔しいわね。」 「あら、この場合年は関係ないかと思います。それに……。」 「それに何よ。」 苛立った声でレミリアは問いただす。 「レミリア様には私が居ますわ。永遠に。そういう運命ですもの。」 「咲夜、運命という言葉を軽々しく使うのは」 「人の意思の作るもの、そうでございましょう?」 「ふん」 馬鹿にしたように、しかし何処か嬉しそうにレミリアは笑った。 翌日、昨日借りた本を結局持ってきてしまったことに気付く。 気は進まないが、返さないわけには行かないだろう……。 義務感から紅魔館を訪れるが、門番の姿はおろか妖精メイド一人すら見かけない。 多少不気味ではあるが、しかし誰にも顔をあわせずに済むなら寧ろその方が好都合か。 そっと図書館に本を返し、帰ろうとしたその時、 「○○っ。」 パチェの声がしたように思った。おそらく幻聴だろう。 まったく未練がましい自分が嫌になる。 振り返るのも癪なのでそのまま帰ろうとしたら、今度は袖を掴まれた。 「待って、○○。」 必死の形相で引き止めるパチェを胡乱げに見つめる。 「あの……私○○に酷い事を。あの時私、嬉しくて、恥ずかしくて、どんなキモチで ○○が言ってくれたのか解ってたのに、私……卑怯だ。もう、○○はこんな私のこと 嫌いかもしれないけど、それでもこれだけは言わせて。私、○○の事が好きだった。 ずっと前から好きだったの。」 そう言うパチェの肩に手を置いて、答える。 「―――――――――――」 一羽の蝙蝠が、音も無くその場を離れていった。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 9スレ目 490 「・・・」 「・・・」 2人きりの空間に2人がページをめくる音だけが響く。 「・・・」 「○○。 本取って来て頂戴。 ××の棚の△△っていうタイトルの」 「分かった。 ちょっと待ってろ」 奥に本を取りに行く。 「これで良いんだよな?」 「ありがとう」 再び2人、それぞれの本のページをめくる。 「失礼します」 咲夜さんが入ってくる。 「パチュリー様、お茶を御持ちしました」 「悪いわね」 「咲夜さん、お疲れ様です」 咲夜さんが退室した後、お茶を飲みながら、再び静かに時が過ぎて行く。 紅茶に落とした角砂糖が溶けるように、ゆっくり、ゆっくりとした、 それでいて甘い時を過ごす。 2人に言葉は必要ない。 お互いにそこにいるだけで良い。 今日も紅魔館の一室に、甘く静かな時が流れる。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 9スレ目 561 最近心が不安定になっている 本を読んでも内容が入ってこないし 魔導書を書こうと思っても思うように書けない 理由は分かってる 彼と……○○と出会ってから私は不安定になってきている 最初に会ったのは魔理沙が何時もの様に 本を借りると言う名の強奪をしに来た時だ なんでも外の世界から来た魔法使いだそうで 魔理沙の話を聞いてここに興味を持ったらしい まるで子供のような顔をしてきょろきょろと図書館を見るその姿を見て 呆れるよりも何故か微笑ましく思った 思えば一目ぼれだったのかもしれない だから今は言えないけど近い将来私は必ず貴方に伝えるわ 「○○、私は貴方のことを愛している」って ───────────────────────────────────────────────────────────
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属性:弾幕 種族:魔女(DX版妖怪) 価格:15000P 移動力:3 射程:2-6 攻撃力:12 防御力:2 最大SP:30 備考:飛行ユニットに対する防御ボーナスなし 生産可能ショーグン:レミリア、パチュリー、咲夜、霊夢、魔理沙、アリス、チルノ、 幽々子、美鈴、萃香、早苗、橙、藍、紫、永琳、フランドール、香霖 紅魔郷4面ボス。知識と日陰の少女。ロケット砲と対空ミサイルが合わさったようなもの。 長射程と高い攻撃力を誇る弾幕ユニット。大抵のユニットには一撃で全滅かそれに近い被害を与えられる。 敵の魔法陣を射程に入れられれば飛行ユニットの生産を抑制でき、牽制としては非常に有効。 その反動か移動力と防御力、最大SPは最低クラス。狙われればまず大ダメージ、悪くすれば即死もありうる。 15000Pは回復するにしても安価とはいえないので、何としてでも敵に触らせないくらいの気持ちで使おう。 自軍結界上で固定砲台をするのが運用としては一番わかりやすい。SP供給もらくらく。 ショーグン幽々子で生産すると性能が一変する。具体的には移動力2、射程1-4、移動後攻撃可能に。 特色である射程は下がってしまったが、山以外の地形であれば従来通り6マス先までの敵を攻撃できる。 DX版でもその虚弱体質は健在。通常の弾幕ユニットでは壁にできる飛行ユニットにすら直撃を喰らい、レミリアクラスなら一撃で全滅もありえる。
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紅い月が佇む 時は丑三つ 妖(あやかし)どもは月と踊り 人間どもは寝静まる 霧深き湖の傍らに凛として咲く花あり 花はふわりと風に揺られその愛らしさを奏でる ゴーン 一つ鐘が鳴る 湖の近く 月より紅き館 紅魔館 その屋根に聳える鐘の重い音が夜を深い夜演出する 「お嬢様、お茶をお持ちしました」 「そこへ」 「はい」 従者の君は主のテーブルにカップを音も無く置く。 続いてポット、砂糖、パウンドケーキを順に並べる。 それが済むと月を仰ぐ主にそれではと残し姿を消した。 コンコン ドアがノックされる。 「お茶かしら」 「はい」 小声であるにも関わらずドア越しに会話が成立する。 ドアを開け、消える。 無数の本棚の森の端のデスクへと。 この部屋の主、パチュリー・ノーレッジの元へと。 しかし、そこにはもう一人、男が隣に座っていた。 「なお様とご一緒でしたか。カップとケーキをお持ちしますので少々お待ちください」 メイド服の彼女はそう言い一礼をする。 「いや僕はいいです」 そう答える。 どうもこの館の紅茶は僕の口には合わない。 人間とそれ以外との違いか、それとも・・・ 「それは残念です。今日は新しい葉を用意したのですが」 カップ、ポット、砂糖、ケーキを並べそう零した。 「それでは、失礼します。なお様もどうぞごゆっくり」 咲夜さんはまた一礼し、消える。 ドアの閉まる音が微かに聞こえた。 パチュリーはといえば、ずっと魔導書を読んでいた。 何かを言おうとしたが、やめる。 彼女に倣い、魔導書に意識を戻す。 普通の人間の僕には、簡単な魔導書ですら難しい。 法則性を見つけ、解読し、鍵を見つける。 そうして初めてその魔導書に記された魔法が使えるのだ。 僕は魔法が使いたいわけではない。 ただ隣にならんで本を読むだけで… パタン パチュリーは本を閉じ、紅茶を淹れ、口をつける。 この館のポットやカップは常に温かく、紅茶の温度が落ちないような作りをしている。 なんとも羨ましい。 「魔導書の進み具合はどう?」 「ああ、うん。手応えは感じてる」 溜息を吐き、本を閉じる。 パチュリーはカップを置き立ち上がる。 「なら、ちょっと実践してみましょうか」 「実践?」 「そう。人間のあなたは魔法を使った事が無い。つまり頭より体を動かしたほうが効率が上がるのよ」 なるほど。 納得。 「よし、やってみるよ。どうすればいい?」 「これを使うの」 パチュリーはデスクの引き出しから小さなガラス玉の様な物を取り出す。 「それは?」 「これは発光球。木の属性魔法と同調して発光するの。この館の照明は全てこれよ」 「木の属性? 光なら火とか日とか月の属性っぽいけど・・・」 「それはただの愚かなイメージよ」 呆れたといった顔をし、属性についての講義が始まった。 「理解できた?」 「なんとか…」 頭がパンクしそうだけどね。 「それじゃやってみて」 差し出された発光球を受け取り距離を置く。 右手に魔導書を開いて持ち、左手を前へ突き出す。 左手に握っている発光球へ力を流すイメージ。 そっと左手を開くと発光球は宙に浮かんだ。 よしっ、いける。 右手の魔導書へ頭から知識を送り込む。 そこからさらに頭へ知識を送り返し、最後に左手を通し発光球に流し込む。 光った。 発光球は弱くも淡い光を放った。 が、しばらくして光を失い、床に落ちる。 「あっ」 落ちた発光球を拾おうとした瞬間眩暈に襲われた。 体が宙へ投げ出される。 「力の使いすぎね」 パチュリーが倒れる体を受け止めてくれた。 椅子に座らされて、紅茶とケーキを食べるように言われた。 「初めてであれだけやったんだもの。倒れて当然よ」 怒っているのかそれとも違うのか。 霧のかかったような頭ではわからなかった。 紅魔館の玄関を開くと朝靄が広がっていた。 近くに湖があるからいつもの事だといつか咲夜さんが言っていた。 「道中、お気をつけて」 咲夜さんは一礼する。 「うん。ありがとう」 まだ少し頭がくらくらするけれど、家に帰るのに差し支えるほどではなかった。 「なお様」 突然呼ばれ、振り返る。 「今日のパチュリー様はとてもご機嫌でした。何があったかは存じませんが、お礼を申し上げます」 いつもの一礼ではなく、朝の陽射しがよく似合う綺麗な笑顔で見送ってくれた。